素知らぬ運命
今日は入学式。学校側からは部活動の禁止を言い渡されているこの日、そんなことを受け入れるわけもなく俺は学校で部活動に勤しんでいた。
入学式自体には俺たち2年は全くと言って関係ねぇ。
といっても俺たちにはもう時間がねぇ。
今年がラストチャンス。なんとしてでも部員を集めて行ってやる……クリスマスボウル。
そのためには新入生から有望な人物を探し出さなきゃならねぇ。
俺は部室でノートパソコンを開いた。そこからこの学校のデータベースへとハッキングを試みる。そうすりゃものの数分で今年の新入生のデータが並ぶ。俺はそこから今年の入試の順位表を出した。
「今年のトップは誰だァ?」
そして表の一番上にある名前に視線を向ける。
「碧路悠里か。ほぅ?やるじゃねえか」
決して偏差値は高いとは言えないこの学校。と言っても100点を取るというのは中々できない芸当だ。
しかしこの碧路悠里という女は5教科合計で490点を叩きだしている。そのうち数学と国語と社会では100点をとっている。
「調べてみる価値はあるな」
俺は早速こいつの個人情報を調べ始めた。
俺はこの時知りもしなかった。
この出会いがこの俺を大きく変えることを。
そして、
アイツの世界を大きく変えることを。
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