秘密の秘密
疲労困憊っていうのは今の私みたいなことを言うんだろう。
『ここまで本気で疲れたと思ったのは初めて……』
そう、この間の王城戦の後の話だ。
いなくなろうとしたヒル魔さんに代わり、試合に出ようと思ったのが間違いだった。
「さて、説明してもらおうか」
『ッ……』
「あくまで口はわらないってか?」
『私のことは詮索しない。そうでしょ?』
「状況が違う。だろ?」
『しないことにはかわりはない』
「そこまでして、なぜ自分を隠す?」
『……』
「別に…脅迫ネタにする…つもりはない」
『…自分のためじゃないです』
「?」
『自分のために、隠してるわけじゃない』
「どういう意味だ」
『周りのため……きっとそう』
そう。
このことが広まってしまえば、私だけではなく、関係のない人々まで巻き込んでしまう。
これは言えないのではない。言ってはいけないんだ。
特に、こんな風に、
未来に、夢を描いている人なんかには。
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