トウメイナセカイ | ナノ

数値化された幸運



私たちの今回のラッキーは、

進清十郎が、スタメンではなかったこと。
恋ヶ浜戦のビデオを撮られていなかったこと。

そんなところだろう。

だが、この要素は極めて重要だった。
何故なら、進が出ない。
アイシールド21の情報が皆無で能力値を知らない油断しきった選手たちばかりのフィールド。
アイシールドにとってさぞかし走りやすかっただろう。


先制点は、泥門だ。


『…なかなかやる。面白くなってきた…!』
「悠里ちゃん?ぶつぶつとどうしたの?」
『いえ、この試合…面白いなと思って』
「へぇ。悠里ちゃん、アメフト詳しいみたいだけど?」
『…一般人よりは』
「そう?」
『そんなものですよ』


そのあとは、試合前にヒル魔さんと打ち合わせをしていたゴールラインディフェンスが成功し、ボールを奪取。
残り8ヤードで進が投入され、せっかく8ヤードまで持ってきた意味は無くなった。
そのあともアイシールドで攻めるも、進に阻まれ、攻撃は思うように振るわず、
守備も高見さんの素早い切り替えでもう、さっきのようなミスは一切なくなった。

前半は35対6で折り返しとなった。


『ヒル魔さん、テーピング巻き直すんですわってください』
「あぁ」


私とヒル魔さんはその状態で会話をする。


「チッ…攻め手がねえな」
『進が出てきて…空気…変わりましからね』
「やっぱ…」
『アイシールド次第…』
「外を走らせるしかねえか…」
『中はどうしても…』
「試合状況を見ながらだな」
『……』



勝つ可能性は…ないことはないが…0.1%程度だろう。

それはヒル魔さんもわかってる。

でも、

あきらめないんですね。




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