春大会2回戦
4月17日。
聖泉競技場。
今日ここで泥門デビルバッツVS王城ホワイトナイツの試合が行われる。
余談だが……
王城ホワイトナイツは最新式のバスで球場へと赴き、我々泥門デビルバッツは原始的な方法……まぁつまりは、遅刻者に骨をつけ台車を引かせ、ケルベロスに追わせるという方法でこの球場まで趣いた。
……効率はいいのかもしれないけど。
試合までは時間がある。
二時間あるわけで、やはり試合前は炭水化物とビタミンCの摂取が必要。
というわけで、おにぎりとみかんを持ってきたのだが…。
「手製ですけど、それでも良ければ…」
先に姉崎さんに出されてしまった…。
『どうしようか…』
一人、カバンを手に悩んでいるといつの間にか背後にはヒル魔さんが。
「なにやってんだ糞碧眼」
『え?い、いやなんでも』
「…じゃあそのかばんの中身…出してもらおうか?」
『あ、え?その…かばんの中には別に何も…!』
「…じゃあ、開けてもいいよな?」
明らかに悪い笑みを浮かべたヒル魔さんが私の持っているカバンに手を伸ばす。
『…!あ、だ、出します!!』
「初めからそうすればいいんだよ」
『だって…姉崎さんのがあるから…』
「…ほら、さっさと寄越せ」
『姉崎さんのがあるからいいじゃないですか』
「いいから寄越せ」
『絶対姉崎さんのほうがおいしいだろうに』
ヒル魔さん、何を考えているんだろう。
わざわざ私のおにぎり…。
「さてと…試合だな」
『そうですね』
「テメーは勝てると思うか?」
『…可能性はあります。限りなく低いですが』
「ほぉ…」
『セナ次第…ってところでしょうか』
「そうだな」
『ディフェンス…本当にあれでいくんですか?』
「あぁ、他に止める術がねえからな」
『うまくいくといいですが…』
「ケケケ、大丈夫だ」
大丈夫だ。
そう言ったヒル魔さんの横顔は、
とても、
輝いていた。
「「「「ぶっ殺す!!!Yeah!!!」」」」
試合開始。
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