試合開始
春大会一回戦は恋ヶ浜キューピッド戦。
私は皆が着くであろう時間よりも早めに試合会場へと入った。
もうすぐ第一試合が終わるというころに皆はやってきた。
「おう、はえーじゃねぇか」
『一応、第一試合も見ておこうかと思いまして。中々面白かったですよ?』
「ケケケ、そーか」
『面白い試合、見せてくれるんですよね?』
「あぁ、たりめーだ」
最近よく思うのはヒル魔さんと話していると楽しいということ。アメフト好きなところが一緒だから波長が合うのだろうか。そこまではわからないけれど。
「「「「「「チーア!チーア!チーア!」」」」」」
考えに耽っていると、ベンチの方からむさ苦しい声が聞こえてきた。
『な、何……?』
「ビービーうるせぇ奴らだな!」
「やあどうもむさ苦しいデビルバッツさん」
こっちに声を掛けてきたのは恋ヶ浜キューピッド主将でQBの初條薫。
私からすれば、デビルバッツよりもあんた一人の方がむさ苦しい。
「いやぁ、こっちの声援は黄色くて申し訳ない!こいつらがど〜〜〜〜しても応援に来たいって聞かなくて!」
そういうと初條は周りを見回し始めた。
「「「?」」」
「おや??!女の子が一人もいない!あれ、おっかしいな〜〜泥門高校は男子校だったかな」
周りに殺気が漂い始める。
というか、今の発言は頂けない。
『女ならいますけど?貴方の目は節穴ですか?』
「え?あ、その、気付かなかったといいますか」
明らかに萎縮している初條薫。こんなやつが本当にQBを務めるのか……
『………』
「と、とりあえずこっちはほら、女の子が10人以上………も……あれ?」
初條薫が振り返った先には確かに10人以上の女の子がいた。だがしかし、
「あージャリプロの桜庭くんだ!」
「ホントに桜庭くんと合コンできるの!?」
「おー、てめーらの応援でウチが勝ったらな」
「イヤーーー!!」
ジャリプロ所属の今をときめくアイドル、桜庭春人の写真で10人以上の女の子を手駒にするヒル魔さんがそこにはいた。
「「GO!!DEVILBATS!!」」
「Yaーhaー!!満足か糞ヤロー共!!」
男って現金だな。
「女もだろ」
『っ!……びっくりした……あれ?声に出てましたか?』
「あぁ」
『……』
まさかヒル魔さんに聞かれていたとは。まあ、いい。
「さてと、試合だ。糞碧眼、さっきハッキングした奴バレねぇようにしとけ」
『……スプリンクラーですね。わかりました』
「ドリンクやらなんやらも頼んだ。糞チビじゃ役に立たねぇからな」
『……了解です』
「よし、集合!」
ヒル魔さんが選手に集合をかける。集まってきた選手は円陣を組む。
「いいかてめーら、負けたら終わりのトーナメント。いい試合しようなんて思うなよ。ぜってー倒す。それだけだ」
「「「「ぶっころす!!Yeah!」」」」
試合開始。
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