不意打ちの変化
放課後。
朝練のとき話していた通り助っ人を集めなければならない。そう思いバッグを手にして教室を出ようとすると突然開いた教室の扉。
「おう、糞碧眼!行くぞ」
『何処へですか?助っ人探しに行かないと……』
「だから行くんじゃねぇか」
『え?二人で……ですか?』
「テメェも罰ゲームしたいなら別だが?」
『一緒に行きます』
そして私はヒル魔さんと共に学校内を回り、助っ人を次々に集めていった。
ヒル魔さんは脅迫手帳という恐ろしい手帳を駆使し特別大きな問題にぶち当たることなく確実に助っ人を集めていく。
そして私とヒル魔さんは一度学校を出て近くにあるコンビニへ。
慣れた手つきでカゴを手に飲料水のコーナーへ。そこでコーラを4本手にしてカゴへと入れる。
でもヒル魔さんがコンビニで本当に欲しかったのは無糖ガムだったみたいで。
「あ・の・糞コンビニ!無糖ガム切らしゃあがって!あんな糞甘いガム、ハエでも噛まねぇよ!」
なんて言っていた。
コンビニを出たあとゴソゴソとビニール袋を漁るヒル魔さん。そして右手に冷たい何かが触れた。
『え?』
「ほらよ」
それは先ほど購入していたコーラだった。さっきの4本はヒル魔さんの分ではなくヒル魔さんを含んだアメフト部のものだったのだと気がつくのにはそう時間はかからなかった。
『ありがとう、ございます』
私の言葉に何も反応することなく学校への道を歩くヒル魔さん。
彼は傍若無人だ。それはこれまでの振る舞いを見ていて誰の目にも明らかなことだと思う。だからこそ泥門の悪魔などと呼ばれ恐れられているわけだ。
しかしそれだけではない。
そう、感じた。
部室に戻ればやけに沈んだ雰囲気のセナと栗田さんがいたのだけれどどうしたのだろうか。
結果から言えば集まった助っ人の数は9人以上いた。
まあ、集めたのはほとんどヒル魔さんだけど。
『あの、ヒル魔さん』
その後解散となり、私とヒル魔さんはともに帰路についていた。
「なんだ?」
『明日天地フィールドですよね?』
「あぁ」
『私、家が泥門駅に行くよりも天地フィールドにそのまま向かったほうが近いので先に行ってます』
「あぁ、遅れんなよ?」
そういって、不適な笑みを浮かべるヒル魔さん。
『遅れませんよ』
「!」
ふと、ヒル魔さんを見れば驚いた顔をしていた。
『どうしたんですか、そんな間の抜けた顔して』
「……いや、テメーも、笑うんだなと思ってな」
『……え?』
ヒル魔さんは今なんと言ったのだろうか。私が笑っていたと、そう言ったのだろうか。
「じゃあな、糞碧眼」
『……え?あ、はい』
分かれ道でヒル魔さんとは別れる。
私が笑っていただなんて、信じられなかった。
でもヒル魔さんと一緒にいると調子が狂うのは確かだった。
これがなんなのか、私にはわからなかった。
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