希望的観測
場所は打って変わって部室。
「つーわけで、明日までに助っ人8人!集めるぞ」
『8人?』
ヒル魔さんの発言に反応したのは私だけではないらしい。アメフトには最低11人必要だ。そしてアメフトの選手はヒル魔さんと栗田さんの2人のみ。助っ人8人では1人足りない。
「あのー確かアメフトって11人要るんじゃ……」
「9、10、11」
9で自分を指差し、10で栗田さんを指差し、そして11でセナを指差したヒル魔さん。
「ブーーーッ!!!」
あまりの衝撃にセナが飲んでいたコーヒーを吹く。その噴出されたコーヒー栗田さんに直撃。こういってはなんだが、汚い。
「だから、主務!」
セナは立ち上がり必死にそう訴える。そんなセナを見て栗田さんは声を上げた。
「僕もセナ君が試合に出てくれたら嬉しいけど、無理矢理じゃなくて、セナ君がアメフトやりたくなったら一緒にやろう!だから9人あつめちゃおう!!」
「はい!」
そんな優しい栗田さんにセナも元気に返事をする。
「一人ノルマ3人!!一番少なかった奴は……罰ゲームなッ!」
泥門の悪魔ことヒル魔さんの罰ゲーム。きっとそれは末恐ろしいものなのだろう。
セナも考えていたようで、心なしか顔が青い気がする。
楽しい。こうして賑やかにアメフトに関われているのが。
いや、駄目なんだ。
私は、感情を、殺したんだ。
もう何も失わないために。
でも、もし許されるのならばもう少しこうしていたいとそう思った。
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