Bitter Sweet | ナノ

知らぬが仏とはまさにこのこと 02
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その後、葵と遙はなんとか結奈を説得し、明人と二人で帰すことに成功した。

「なんか…疲れたね」
「あぁ…。お前いつもあんなことやってるの?」
「あんなに嫌がるのは初めてかも。ほら、たいていの男子は結奈にトラウマ植えつけられるから…」
「そうだよな、普通」
「埋められてもあんだけ付き纏えるのって、ある意味尊敬するわ…」
「っていうかさ、なんで杉村君は結奈に…?」
「一目惚れだとさ。はぁ…岬はなんであそこまで男が嫌いなんだろうな。あいつが明人を受け入れてくれたら早いのに…」
「杉村君らしいね。結奈はね…散々考えた結果、なんとなくだって」
「岬らしいな…俺、あの二人ってなかなかあってると思うんだ」
「やっぱり遥もそう思う?」
「やっぱりってことは、お前も思ったのか。そりゃそうだよな…だってなんだかんだ言って」
「「凄く楽しそうだもん」」


ところ変わって―
「くしゅんっ」
「あれ?結奈さん、風邪?」
「きっと葵が私の話をしてるのよ」
「分かるの?」
「テレパシー」
「ほんとにっ!?すげぇ!」
「冗談よ。真に受けないでもらえる?」
「………。結奈さんも冗談言うんだ」
「なにそれ?」
「いや、冗談言わなそうにみえるから…」
「ふーん…。………」
「……………」
沈黙が続く。
(何話せばいいんだろう………?)
まともに受け答えしてもらえるなんて思っていなかったから、明人は話題を全く考えていなかったのだ。
「ねぇ」
「は、はいっ!?」
急に話しかけられてビックリしたのか、声が裏返える。
「何その情けない声。まあいいや。あんたさ、なんで引かないの?」
「引く?どこに?」
「今まで私に言い寄ってきたやつ等はみんな、最終的に引いていったわ」

少しだけ寂しそうな声音に聞こえた。
明人は、遥の言った言葉の意味がようやく分かった気がした。

「いつも埋めてるの?」
「あれは初めて。たいてい急所を蹴ると逃げるもの」
「結奈さんの初めて……もらっちゃった」
「気持ち悪い言い方しないで!誤解されるじゃないの。っていうか蹴られて逃げないって何なの?Mなの?」
「単純に痛くて動けなかっただけ」
「当たり前じゃない。加減しなかったんだもの」
「ですよねー」
「じゃあ私、ここ曲がるから」
「結奈さん、また明日!」

明人が後ろから声をかけると、結奈は振り向いて一瞬微笑んだ、様に見えた。

「結奈さんが、笑った………?」

「…………」

そんなはずない、と思って別れ際を脳内リプレイするが、確かに笑っていた。
………多少、いやかなりフィルターがかかってはいたが。

「ふおおおおおおおおおおお!」

嬉しかったのか、急に明人は叫びだした。
急にあがった奇声に周りが引いたのは言うまでも無い。






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