茶器に沸騰したばかりのお湯を注ぎ、茶器を蒸らす。
佐助は器用に茶器を扱う。
「今日は紅茶ね」
「うむ」
幸村は笑顔で答えた。
佐助は戸棚から数ある茶葉を手に取る。
「こっちにしよう」
温まった茶器からお湯を捨てると、ティースプーンで茶葉をすくう。
「これ新しく買ったばかりなんだよね」
「それは楽しみだ」
茶葉を入れて、2、3分。
「出来たよ、旦那」
「うむ」
茶器をトレイに載せてテーブルまで運ぶ。
幸村の前と自分の席にカップを置くと、佐助は幸村と自分のカップに交互に紅茶を注ぐ。
「旦那?」
じっと、佐助が紅茶をカップに注ぐ姿を見ている幸村に佐助は声をかけた。
「好きだな」
「へ?」
「俺は佐助にこうしてお茶をいれてもらうのが好きだ、佐助がお茶をいれる姿が好きだ」
「あ、ありがとう…」
佐助は顔を少し赤く染め、椅子に座った。
「佐助、これは砂糖でいいか?」
「あ、待って今日はね、」
佐助はトレイに置いてある瓶を取った。
「これ、一緒に買ったんだ」
「なんだそれは?」
「蜂蜜」
「蜂蜜?」
「そ、紅茶専用の蜂蜜」
佐助は瓶の蓋を開けると、スプーンで蜂蜜をすくう。
黄金色の蜂蜜がつうっと垂れる。
「旦那、カップ貸して」
「あぁ、」
佐助は器用に幸村のカップに蜂蜜を垂らし、スプーンで紅茶を掻き混ぜる。
「飲んでみて」
「あぁ、」
幸村は佐助からカップを受け取ると口をつけた。
「甘い、」
「でしょ?たまには変わった味もいいと思って」
「美味しいぞ!佐助」
「良かった」
幸村はカップを手に持って笑った。
(旦那の喜ぶ顔が見たいだけなんて)
甘い甘い蜂蜜を混ぜて。
とろける様な笑顔を見せて。
honey・tea
09.0126
風花
日常のワンシーン。
日常的なお話も好きです。
きっと二人の時間は
どれもが愛しく
幸せなのだと思います。