佐助の部屋にはいつも何かしら音が流れている。
それは流行曲だったり、洋楽だったり、または季節物だったり。
佐助は音楽を誰よりも好んでいた。

「佐助、」

ノックをして、幸村は佐助の部屋を開けた。
扉を開ければ、佐助ではない音が耳に飛び込んでくる。

「どーしたの?旦那」
「ラジオか?」
「え?あ、うん。日曜のね、この時間帯のラジオって面白いんだ。だから最近お気に入り」
「そうか」
「で、どうしたの?」
「いや、別に」
「変な旦那」

クスクスと笑って佐助は、立ち上がった。

「お茶にしようか」

佐助がお茶の準備をしてる間、幸村はラジオに耳を傾けていた。
リスナーのメールを読み上げ、コメントを返す。
そしてリスナーの希望曲を流す。あまり代わり映えしない内容のラジオだったが、何故か楽しいと感じた。
何処の店にもかかっている様な流行曲から昔懐かしい曲までかかるラジオ番組。

聞き覚えのある曲に幸村は歌を口ずさんだ。
佐助も好きな曲だ。
幸村は上機嫌になり、ポケットから煙草を取り出すと火を点けて、吸った。

「ラジオもいいものだな」

幸村はふっと笑う。

「では、ここで紹介します。ただいま、私がプロデュースした限定ケーキが×××で販売されています。最寄りの×××のコンビニにてお求めくださいね!」

「佐助!」

幸村は煙草をくわえたままキッチンに走った。

「佐助!」
「どうしたの?旦那」
「今日の茶菓子を決めたぞ!」

キッチンに備えてある灰皿に煙草を押しつけて幸村は財布を手に取った。

「今からコンビニに行くぞ!」
「え?」
「ラジオでやってたのだ。限定ケーキをコンビニで売ってるとな!」
「あれ今日発売だったの?」
「そうだ!」
「俺も気になったんだよね」
「行くぞ、佐助!」
「うん」

玄関の鍵を閉めて、幸村は自転車に乗り込んだ。

「佐助、」
「はいよっ!」

ふわりと佐助が自転車の後ろに乗った。
二人乗りした自転車のペダルを漕ぎだす幸村。

「しっかり捕まってろよ!」
「分かってるよ!旦那!」

佐助は幸村の肩をしっかり掴んだ。


「目指すは、」

ペダルを力強く漕ぎ、幸村は声を出す。そして楽しげに佐助の声が続いた。


「限定ケーキ!旦那、頑張って!」
「おう!」


早く、早く!
二人で目指せ!


08.1214
風花


元ネタはロ/ー/ソ/ン。
ラジオで
企画したケーキを
販売してました。



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