嗚呼、貴方はどうして。

「また、な」

血塗れた鎧、色を失う顔色。
それでも彼は笑っていた。
笑って、手を伸ばした。

頬に触れる低い体温。


(嗚呼、消えてしまう)


この愛しい紅蓮の焔が消えてしまう。
悲しい、苦しい。
でも、何処か違う感情も交ざる。

「…またね、旦那」


私はずっとお側にいますから。
安心して眠ってください。
私のいるべき場所は貴方のお側。


「あぁ、またな、…さすけ…」
「また、会いましょう、幸村様…」


崩れ落ちる手を掴み、その体温に触れる。
頬を伝う雫だけが熱を持っていた。

「また、来世で…」


さようなら、は言わない。
また会えるその日まで。


「おやすみなさい…、幸村様…」


夕日色の忍びは、涙を零しながら、穏やかな笑みを浮かべた。

「…また、ね。旦那…」

力を失ったその手のひらを自分の頬に引き寄せる。


「いつまでも、幸村様のお側におります…」

だからどうか安心してお休みください。
佐助は貴方様とずっといます。

「おやすみなさい…」


愛しい紅蓮よ。
どうか、


ひとときの眠りに


08.1015
風花


らっどさんのラ/ラ/バ/イを
聞いて書きたくなったお話。
夏の陣の幸村と佐助。




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