一人芝居に夢見たきみを素敵だと思った







「ねぇ、それは一体どう言うつもりなのかしら?」


キラキラ、キラキラ。
無数に輝く金属が私の目に飛び込んで来る。


「見つけたぞ。世界のためにギルガリムを倒せ」


何て傲慢。私を道具としか見てない愚かな命。でも世界樹が生み出した尊い命。


「それはあなたたちの為?世界樹の為?いえ、聞かなくてもいいわ。それはあなたたちの為なんでしょう?分かりきっている事よ」


あなたたちが私の邪魔をし、私の愛する世界樹を蝕むと言うのなら、いくら尊き命でも許せない、許さない。
キラリ、私の手元にあるモノも、輝く。磨き上げられた、どんな武器にも負けない剣。


「私はあなたたちを殺すわ。傲慢で自分勝手で、私を道具と見るあなたたちを。世界樹と世界の為に死んで」


急速高まっていく感情。それと同時に子の場に風が吹き荒れる。自然は私の味方。だから私を守ってくれる。


「イラプション!」


私にとって詠唱なんて不必要。自然は私のために動いてくれる。世界樹の夢である私を助けてくれる。
キンッ。
誰かがイラプションをかいくぐって突っ込んで来た。ふわりと舞う、彼の髪。それだけは私の…。


「お芝居何でしょう?今までの事全て。楽しかったわ」


ぶわりと風が溢れ、彼は吹き飛ばされた。所詮は彼も愚かな奴らと同じ。私を世界樹の敵と思い込んで排除しようとする。それが本当の正義であるかのように。


「お前は何で裏切ったんだ!」


今まで聞いた事のない言葉が飛び込んで来た。それは初めて聞かれた理由で、彼にしては不自然にも思えた。彼はあの人たちを信じてここまで来たはずなのに、その瞳は確かに揺らいでいる。それがとても不快で苛立った。


「裏切ったのはそちらでしょう?」


頭の中が急激に冷えて、全ての事がどうでもいいように思えた。剣を鞘に収めたら、周りが良く見えた気がした。そうよ、今はこんな事をしている場合ではないの。世界樹は嘆いているわ。ギルガリムがどんどんどんどん迫って来ていると。


「今までの芝居は楽しかったわ。良い夢を見れた。素敵な夢だった。一時だけ私は世界樹の夢じゃなくて人としていられたわ。それだけ感謝する」


嘆きが聞こえる。世界樹が悲鳴をあげている。哀れなほど苦しそうに、声をあげている。大丈夫、世界樹。あなたの苦しみは私が取り除くから。































(さあ、覚悟しなさい。ギルガリム)





 
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