時とは何か
時とは一体何か？
過去。
現在。
未来。
この三つは我々の世界で使われている時の名前である。
しかし如何にしてこれらの言葉が決まったのか。いつ、どの時代で決まったのか。
私は時について深く考える事とする。
そうして研究していく内に、私は一つのイレギュラーを発見した。
彼はこれらの時と呼ばれるものを超える事が出来るのだ。時間と言う必ず訪れ、去っていくものに抗う事が出来るのだ。それは長年時を研究してきた私にとって大いに興味をそそられるものであった。
興味深い研究材料である。
私は彼のような存在を時渡りと呼ぶ事にした。
現在から過去へ、あるいは未来へと時を越える事が出来る彼に、ぴったりの名だと思う。
彼は不思議な日記を持っていた。それは一見すればただの日記にしか見えないが、彼にとっては重要な意味があるらしい。毎日のように日記を書き込むくせに、一度書いたページは二度と開かないらしい。どういう事か尋ねてみたが、彼は答えようとはしなかった。どうやら時渡りの重要な秘密が書かれているらしい。私はそう推測した。
私はこれから彼の事を良く観察し、時についてさらに研究を進めようと思う。この研究の成果が出れば、おそらく人々は過去や未来への往来が可能になるかも知れない。そうなれば、やり直したい事をやり直せるかも知れないし、未来の自分に警告を出来るかも知れない。まさに理想の人生を築けるかも知れない。
では、何故時には三つの名があるのか。
一つは時が流れ過ぎ去ってゆくから。
一つは時が今すでに動いているから。
一つは時は先にも存在しているから。
しかし彼は時間を越えられる。ならば彼にとっての過去は我々にとっては未来かも知れないし、彼にとっての未来が我々の過去かも知れない。ならば彼にとっての現在とは一体何か？
私はこのイレギュラーである彼の事をもっと調べようと思う。何故このような力が彼に存在しているのか。そしてこの力は私のような普通の人間でも使う事が可能なのか。
結論
時とは過ぎ去ったものであり、今存在しているものであり、先に存在するものである。
そして時は抗えぬものであり、万物全てに働きかけている。イレギュラーである彼を除いては。