「む…もうおなかいっぱいれふー…」

「……」


小松田さんってなんでこんなかわいい寝言言うのかな…。
仕事に身が入らないよ…。


あれから、竹谷くんはしっかりと小松田さんの部屋まで運んでくれた。
そのうえ、「ほかになにか仕事はありませんか?」だって。
この世界の子はいい子だ…そしてなにより男前。
顔はもちろんだけど、なにより考えることややることが男前。
お世話でも、細腕なんて言われたら嬉しいもの。


「えーっと…入浴時間変更のお知らせ…?こんなのあるんだ…」


学年別に時間が決まっているようだ。
私は真夜中、シナ先生とご一緒させていただいてるが…。


「あ、くのたまの分もある…」


…くのたまはみんな一緒に入るんだ…。
うわあ女の子の天国…秘密の花園ってやつか…。
ぜひ飛び込んでみたい…って、


「そういえばくのたまと喋ったことない…」


にんたま全員と喋ったわけじゃないけれど、くのたまは1人として喋ったことも会ったこともない。
ユキちゃんやトモミちゃんかわいかったもんな…みかちゃんにしおりちゃん、そうこちゃんにあやかちゃん…。
アニメだけでいえばナオミちゃんに恵々子ちゃんだろ、猪々子ちゃんに亜子ちゃん、卯子ちゃん…………それこそお腹いっぱいだよ。
あっ、おシゲちゃんっているのかな?
はー…是非とも仲良くしたい…。


「…って、もしかしてくのたまのやつも小松田さんが書いてたのかな…?」


なんてこったい!
ごめんね小松田さん…わたしが寝込んでたばかりに…。
後ろで眠る小松田さんへ、心の中で謝る。
案外嬉しかったりして?
初そうに見えて小松田さんも…。


「えー…と、あと…ごっ50枚……!?」


仕事内容の書いてある紙を見てわたしは絶句した。

『にんたま・くのたま共に入浴時間が変更されました。
下の表を別紙に写してください。
生徒全員に伝わるよう50枚、作って貼っておいてください』

最後には吉野、と書いてある。
周りを見渡しても、表を写した紙は見当たらない。
…ってことは小松田さん1枚も写してないんだ…。
…。

一番最初に入浴予定の時間は……戌の刻…えーっと…子、丑、寅……あー…うんと…はち、8時…かな?
今何時だろ…あーもう時計ないの本当に不便!


「さっき潮江くんと手合わせしたのお昼過ぎだった…から、2時くらい?」


今2時だとして…八時までに50枚…。
…が、頑張ればできるかな?
うん、頑張れば!
引きつる頬を無視して、筆を握る。
竹谷くんに手伝ってもらいたい…が今更遅いというもの。
意を決して、わたしは取り組んだのだった。

  

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