明るい茶色に染まった髪の、長い襟足が揺れて前に垂れる。普段、首の後ろに流されている襟足が前にくることはそうそうなく、この姿はとても新鮮だ。大きくぱっちりとした猫目は、今は閉じられていて、黒いまつげが影を落としている。なにより彼のトレードマーク、ピンクと水色ボーダーの猫みみニット帽が「なに見てるのさ」

突如として伏せられていたまぶたがひらき、彼の黒い目と視線が重なる。まさに黒だといえるこの瞳も、素敵でたまらない。いつもは半分しか見ることができないこの目も、ニット帽を被っていな「ねえ、聞いてる?」

聞いてるし、ばっちり聞こえてます。そもそも私が松野くんの言葉を聞かないわけがないでしょう。松野くんの言葉はひとつひとつ大事に噛みしめて聞いていま「ふーん。じゃあ見つめるのやめてほしいんだけど」

それは無理な相談ですね。せっかく松野くんをガン見できるベストポジションにいるっていうのに、見つめないなんてできない。このチャンス、逃すわけにはいかないんで「チャンスってなに、意味わかんないんだけど」

チャンスっていったらチャンスです。私、いつも松野くんの横にいるから松野くんの横顔しか見れないんです。松野くんのかっこよくてかわいくて素敵な顔を真っ正面から見れるチャンスは、今逃すとたぶんないんです。松野くんのかっこよくてかわいくて素敵な「わかったから、もう言わないで」

頬を薄紅色に染め、唇を尖らしている松野くんが、私から目を逸らす。照れているのだろうか、前髪を触り始めた。黒い目がきょろきょろと動き回る。そっぽ向くその姿が、か、かわい「あとでじっくり見せてあげるから、今はご飯食べさせて」


敬語部分は主人公の台詞になってます。

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