故意ではなく、事故でしてしまう口付けってあると思うのです。
ほら、ずいぶん昔の潮江先輩と食満先輩のように。


「ふぅん…、じゃあ…故意ではない口付けに照れたのはどういうことなの…?」


恐ろしいほど綺麗な微笑を浮かべた平太が、ゆっくりと間合いを詰めてきた。
とんと、背中にあたるはわたしの逃げ道を塞ぐ壁。
平太がその壁へと手を付き、もう逃げられないことが決まった。
目と鼻の先にあるその顔に、ほんのり頬を熱くしながらも弁解の言葉を述べる。
けれど平太の唇に塞がれ、大事な言葉は遮られてしまった。


「っふう、」


…いつもの触れるだけの口吸いじゃあなくて。
きっと、座っていなければ膝がガクガクいっているだろう。
…支えられない、限り。


「…名前ちゃん、」


唇を離した平太が舌なめずりをして、目を細め微笑んだ。
まるで狐のようなその表情に、お腹まわりがきゅうと鳴る。



「…ぼくの方が、うまいでしょう…?」



腰が溶けるというのは、まさにこのことだ。



キスで責めて



( DOGOD69 )

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