「ぼくはオシャレという意味がわからないよ。人はみんな行き交う人を見つめてはダサいとかオシャレとかあれはないとか口々に言うけれど自分のしているその格好が他の人から見たらダサいとか思わないの?正直ぼくはダサいの意味も理解できないけれど、自分がオシャレだと思っている人が心の中では自分がダサいと思う格好をオシャレだと思っているとは考えないの?服は人の個性だだとかぬかすくせに他人の服装にケチつけるなんてただの下衆だね。そもそもほんとうのオシャレ、まあぼくは理解できないけれどほんとうのオシャレって云うのは人前に出ても大丈夫な格好だと思う。別にズボンに服が入っていたっていいじゃない。外に出れないほど酷くはないんだから。見方を変えればバシッと着た制服でしょ?何がダサいんだろうね。ぼくは笑う人のほうがダサいと思うよ」


「え、なに急に」


「たしかにオシャレの意味は『服装や化粧に気を配ること』を言うけれど、本人はきっと気を使ってるよ。ただ自分の好みと他人の好みが違うだけ。違う人にはダサく見えるけど同じ人から見たらすごいオシャレに見えると思う。自分の好みの服装じゃないからってダサいなんて言うのは馬鹿の極みだね」


「すいません話読めません」


「例え話にしようか。AさんはBさんをオシャレだと思う。AさんはCさんをダサいと思う。でもそのBさんから見てCさんはオシャレだったら、BさんにとってAさんはダサいだろう?でもCさんはAさんとBさんどちらもオシャレとは言えないんだよね」


「はあ、」


「センスってなに?人はそれぞれ持ってる美的感覚が違うんだからあなたのセンスとぼくのセンスが違うのは当たり前でしょう。ぼくからしたらあいつのセンスがおかしいんだ。ケチつけるな阿呆が」


「喜八郎、ちょっと落ち着いて」


「そもそも性格が違うんだ。あなたが好きな格好をできるはずがないだろう。ネチネチ言うなタカ丸さんはぼくに似合ってるって言ったんだ髪結いに言われたんだ文句あるの。ここで言うけど服はやっぱり人の個性なんだよ。性格が表れる。三木ヱ門は真面目な感じの服装を好むしタカ丸さんは少し派手目な服装を好む。ぼくにだって好みの服装があるしそれは言葉通り個性だ。自分の個性に文句付けられるほど腹立たしいことありません」


「そうですね」


「今まで長ったらしく言ったけれどぼくが言いたいことは」


喜八郎が一枚の紙を取り出す。
どうやら写真のようで、光に透けてうっすらとあちら側が見えた。

…あ、滝夜叉丸。



「おまえなんかに文句言われる筋合いないんだよ滝夜叉丸」


喜八郎は写真の真ん中をつまみおもいっきり破った。
ビリッッ!と音を立て虚しく床に落ちた写真には、満面の笑みの滝夜叉丸が。


「ぼくの服装にグチグチ文句言ってないでまずはその性格直しなよ自惚れ屋」



自分の考えと他人の考えは常に違うもの


「きっきっきっ喜八郎おおぉう!あああ私の美しい顔が…」


「どうせならばシュレッダーにかけるべきだろう」


「ナイス三木ヱ門」


「み、みんな落ち着いて!綾部くんも写真は破っちゃだめだよ〜」



そう言ってるわりにタカ丸が一番笑顔である。




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