「身体測定?」

もぐもぐとお昼ご飯を食べていた勘ちゃんが顔を上げる。
わたしもちまちまとパンをかじりながら頷いた。

「ん…今年からやるんだって。嫌だなあ」

はあ、と溜め息をつくと勘ちゃんはどーして?と首を傾げた。

「たいてい診るの男の人じゃん。小さい頃はどーってことなかったけど」

「相手を俺だと思えばいーんじゃない?」

ね?とか言いながらわたしの肩にぽんと手を置いてきた勘ちゃん。
相手を…勘ちゃんだと…?
ゆるゆると頭に思い浮かべてわたしはボッと赤面した。
相手がかか勘ちゃんとか…!

「お?」

「むっ無理!余計恥ずかしいよ!」

手と頭を左右に振りまくる。
想像した自分も恥ずかしい!
ふーふー息を繰り返すわたしを見た勘ちゃんが、きょとんとしたあとにやりと笑った。
ぞわっと鳥肌が立つ。

「ふーん」

うねうねした髪を風に揺らしながら勘ちゃんは私に近寄ってきた。
食べかけのパンを顔の前にやり隠す。

「相手が俺だと恥ずかしいんだ?」

「ち、ちょっ、」

片手でわたしの両手首を掴んだ勘ちゃんが、ゆっくりと首筋に顔を寄せてきた。
いっ、きづかいが…!

「なんで恥ずかしいのかなー、名前ちゃんは」

「ひ、」

勘ちゃんの頭が肩に乗り、うねりのある髪が頬をくすぐった。

「自分から上着をたくし上げる仕草って、たまんないよねー…」

「は、はあっ?」

勘ちゃんの体から力が抜け、全体重がわたしにのしかかる。
支えきれなかったわたしの体が後ろに傾き、人工芝へ倒れた。

「か、勘ちゃん?」

「……」

しばしその体勢でだんまりを決め込んでいた勘ちゃんが、顔だけを起こした。

「今思い出したけど」

「え?」

「診てくれる人、男女共に女の人だよ」

パンが手元から離れ落ちた。



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