「……眠っ」

オレは欠伸をしてそう呟きながら並中の門を通った。

既に1限目は始まっていたので、教室には行かず応接室に向かった。

ドアを開けると中には誰も居なかった。

「おー誰もいねーじゃん、ラッキー。」

そのままソファに寝転んだ。

そして風紀委員に買って来させたジャンプを手に取った。

読みたいって言ったら風紀委員が発売日に買って来てくれるようになった。

パシりゲット?

 

頭を小突かれ目が覚めた。

「…誰?」

「僕だよ。」

恭弥だった。

まあ、俺を起こす奴は恭弥くらいのモンだが。

「銀也またサボったでしょ。授業受けに行きな。」

恭弥が言った。

「んだよ恭弥、お前は授業受けてんの?」

「さあね。」

恭弥は不敵に笑った。

怖っ

「僕のことはいいんだよ。サボるな。」

「…はい。」

恭弥に睨まれ、俺は応接室を出た。

今は2限目が始まる前。

教室に入ると、皆がこちらを見るが声をかけてくる奴はまずいない。

雲雀姓なうえに風紀委員な俺は、恭弥に次いで恐れられているようだ。

俺としてはちょっと寂しい。

俺はそんなに怖い人じゃないのに。


「おう銀也、おはよう!!」

大声で声をかけてきたのは了平。

「はよー」

俺はひらひらと手を振る。

すぐにチャイムが鳴り、教師が入ってきた。

そいつは俺を見て少し意外そうな顔をしたが授業を始めた。

 

授業を受け始めて何時間か経った。

俺は一応授業を受けながら、うとうとしていた。

授業は現国。

日本人なんだから現国くらい解るだろ。

そのとき、教室の後方のドアが開いた。

見ると、恭弥がいた。

それが分かった瞬間、教室内が凍りついた。

生徒だけじゃなく、教師まで。

「銀也、ちょっと来てくれる?」

その教室の面々を無視して恭弥は言った。

「嫌。」

「何で?」

「だって、教室に行けって言ったの恭弥じゃん。」

そう言うと、恭弥はずんずんと教室内に入ってきて俺の腕を掴んだ。

「えっちょっマジで?何で?」

「いいから。」

俺はそのまま恭弥に引っ張られて行った。

 


俺はそのまま恭弥に連れられて、学校の外に出た。

「なあ恭弥?何処に行ってんの?」

暫く歩いたところで俺が訊いた。

「最近この辺で群れてる高校生がいるって風紀委員から報告があってね。」

「ふうん。何か被害は?」

「並中生も何人か被害にあってるらしいよ。」

恭弥が言った。

「で、何で俺まで?」

「別に良いでしょ、相手は不良だしね。」

俺が悪い奴しか咬み殺さないのは、恭弥も承知している。

「俺に手伝えって?いいの?相手減っちゃうけど。」

「構わないよ、どうせ強い奴は居ないだろうしね。」

恭弥は俺のことは認めてくれているので、相手が多いときは俺にも手を出させてくれる。

「…分かりました、手伝います。」

そう言って俺は恭弥に着いていった。


 

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