リボーン達が完全に見えなくなってから立ち上がり、神楽のもとへ行く。
まだ起きないので、ぼんやりと持って来ていた飴を舐めながら待っていた。
飴をなめ終わる頃、神楽が起きた。
「う…?」
「あ、起きた?」
のそりと起き上がる神楽。
と、次の瞬間
「ほちゃああぁ!」
殴られた。
「ちょっ、なんで殴んの?」
「銀ちゃん適当にって言ったアル。気絶させんじゃねーヨ。」
「だって神楽だって手加減忘れてただろ。」
「う…」
そこまで言ってお互い黙る。
「銀ちゃん!!」
そう言って神楽が飛びついてきた。
「痛っ、ちょっ、腹痛いんだけど。」
そう言いながら一応受け止める。
「ごめんネ、銀ちゃん。手加減は苦手アル。」
そう言って神楽は笑った。
それから暫く時間があったので、俺たちは色々なことを話した。
「へー、ここ、銀ちゃんが読んでたジャンプの漫画の世界アルか。」
「そーなんだよ、びっくりだよ。」
ジャンプを読んでいなかった神楽は、前世の記憶があっても此処がリボーンの世界だということは知らなかったようだ。
神楽は、六道骸達と同じくエストラーネオファミリーの人体実験の被験者で、脱獄してきたらしい。
そして、黒曜中メンバーに加わっている。
怪力で回復力が強いのは、人体実験のせいなのだそうだ。
「でも銀ちゃん名前かわってたから分かんなかったネ。1位も2位も雲雀だったから、双子かと思ってたアル。従兄弟だったアルか。」
「そーなんだよ。恭弥のやつ何も言わないで黒曜にいっちゃったから、心配だったんだよ。何だかんだ言って兄弟みたいに一緒に育ってきたし。」
「いーな。私も銀ちゃんの妹がよかったネ。銀ちゃんとの歳の差もちょっとだけだし。」
そう。今は俺が中3で神楽が中1。前は大人と子供だったのに、今は兄妹くらいの歳の差と身長差。
神楽は嬉しそうだが、俺としてはちょっとへこむんですけど。
「あっ。」
「?どうしたアルか?」
やべ、忘れてたけど、骸たちってこのあと復讐者に捕まるんだ。
神楽も?
「なぁ、神楽。落ち着いて聞け。」
「何アルか?かしこまって。」
「俺はジャンプ読んでるから知ってるけど、このあと六道骸はツナに負けるんだよ。それで、他の奴等は知らないけど六道骸と柿本千種、城島犬はもう一度捕まる。」
「本当アルか!?」
青ざめる神楽。
「あぁ、多分お前も捕まる。けど、今逃げたらもしかしたら助かるかも知れねえ。どうする?」
そう問うと神楽は暫く考え込む。
「ううん、今の私には骸たちも大切な仲間アル。1人だけ逃げるなんて出来ないネ。」
「そっか。でも、お前ら脱獄するはずだから、また会えるさ。」
「本当!?」
少し顔が明るくなった。
「あぁ。」
その時、神楽の後ろに黒い霧のようなものがたちこめ、復讐者が姿を現した。
「銀ちゃん、またね。」
錠をはめられた神楽が言う。
「あぁ。俺たちの前世の事は秘密にしとけよ。」
めんどくさそうだから。
「分かったアル。バイバイ。」
その言葉を最後に、神楽は消えた。
「…ハァ。」
何とも嫌な気分になってしまった。
立ち上がり、恭弥がいるであろう建物の方に歩きだした。
そのあとツナ達のところに行くと、
皆、満身創痍といった感じだった。
俺が1番怪我してないようだった。
しばらくして、ボンゴレの医療班と思われる奴らが到着し、怪我人を運んで行った。
俺も傷があったので手当てを受けた。
恭弥も傷だらけで気を失ってはいたが、命に別状はなかった。
数日後、
並盛中には恭弥含め、元気なあいつらが戻っていた。