しばらくは平穏な日が続いていた。
夏祭りでは色々あったらしいが、俺は家で寝ていた。
恭弥には行くように誘われたが、ゴタゴタがあると知っていて行くわけがない。
そんな平穏な並中だったが、ついに来てしまった。
黒曜編?が。
発端は、並中生がボコられ、歯を全部抜かれた状態で発見されたこと。
それからは歯を抜かれ、大怪我をした並中生が続出。
なんで知ってるかというと、恭弥が早々に聞きつけて怒っていたから。
ちなみにあいつは並中生がやられたから怒ってるんじゃない。
並盛の風紀が乱されたことに怒っているだけだ。
俺は、並中生が襲われ、恭弥が黒曜に乗り込み、そして六道骸に桜を使われて負ける、ということは知っていたわけだから、事前に恭弥を止めるうもりだった。
しかし、
あの野郎、今回に限って俺に黙って行きやがった。
俺が、他校生と戦うのに反対するとおもったのか?
「銀さん、委員長は?」
応接室に行くと、草壁が訊いてきた。
「見回り?」
俺は疑問符付きで答えた。
「そうですか。」
草壁は言った。
そういえばこいつもやられるんだっけ?
「まあ、並中生が襲われてんだ、お前も気を付けろよ。」
そう言って応接室を出た。
そのまま家に帰らず、病院に向かう。
ツナ達に会うためだ。
恭弥を助けに行きたいが、俺が1人で行って物語の進行が変わるのは駄目な気がした。
だから、あいつらについていって手をかそうと思ったわけだ。
病院に着くと、了平の病室へ向かう。
ドアを開けると、すでにツナ達がいた。
「あ、銀さん」
「おお、銀也か。」
皆がこちらを見る。
「おう了平、見舞いに来てやったぞー。」
「わざわざすまないな。」
了平が言う。
「ちなみに歯は何本抜かれた?」
訊いてみた。
確か5本だったか?
「6本だ。」
あれ?
「6本?マジで?」
「本当だぞ?どうしてだ?」
「いや、なんでもない。」
あれ?5本じゃなかったっけ?
もしかして俺?
「あ、恭弥見なかった?」
ついでに訊いてみた。
「ここに来る前に会いましたけど。」
ツナが言った。
「そっか、サンキュ。」
「どうした?」
「いや、気にすんな。」
とりあえず、探さねえと。
もう遅いかも知れないが。
「じゃあ、俺は用事があるからこれで。」
そう言って俺は病室を出た。
それから程なくして、草壁がやられたとの連絡が入った。
恭弥はとうとう戻って来なかった。