紫堂の護衛役は、本来の職務放棄して紫堂の居る特進科へ迎えに行くこともせず…ひたすら逃げの姿勢。
大きいくせにヘタレだ。
「やっぱ逃げるぞ、芹霞。俺、今日の奴…昨日にまして自信ねえんだ。つーか、昨日の唯一の自信あった回答が違ってたんじゃ、俺…点数自体取れた自信がねえんだよ」
「うんうん、あたしもそう。昨日の櫂のスパルタで疲れて寝ちゃったの。そうだね、煌。櫂が居ない隙に逃げちゃおうか。緋狭姉相手じゃないから、逃げ切れるかもしれないし」
そう簡単に上手くいかないって。
紫堂がここに居なくても、君達の単純思考なんて読まれてる。
「何処に逃げるって、あ゛!!?」
「は!!!? 何で桐夏に居るよお前!!!」
ほーら、廊下で待機してた葉山と、
「芹霞、フィナンシェ焼いたんだ。さ、帰ろう?」
にっこり、味見用の出来立てお菓子を神崎の口に突っ込む師匠。
「おいち〜。まだあるの? うんうん、帰る〜」
師匠にかかれば、10秒もかからない。
何で桐夏に入って待機出来たのはおいておいて。
そこに超然と笑う紫堂が合流。
はい、全ては無駄なしの最短捕り物劇。
逃げる前に、捕獲成功。
そして――。
帰ってきた家の中の1室。
ボクの部屋に皆は集まっている。
藤宮さんが作って師匠が改装している新住居に、ボクの部屋はある。
ボク…皆と同居させて貰っているんだ。
嬉しいけど…ちょっと怖い部屋。
新居なのに工事しているようなドリルの音とか、変な笑い声とか、音楽やナレーションが聞こえたり。
勝手に変な穴が出来てたり、勝手に出来たドアが開いていたり。
覘いたらもう…。
……これ、ファンタジーだよね?
ホラーじゃないよね?
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