あるテスト終了日
由香side
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最後のテスト終了の鐘が鳴り、喜びの声が教室のあちこちから上がる。
この教室には、神崎達は居ないから…ボクは喜びを分かち合う友達は居ない。
普通にしてても"変人"の称号を勝手に付けられ、ボクはいつも爪弾き。
だけどいいもんね、教室を出れば神崎達が居る。
少し前までは、ボクとは無縁の…ボクと違った意味で目立っていた人達。
憧憬と嫉妬、羨望がどろどろとした視線を浴びていた神崎達。
その輪の中に、このボクが入ることになるなんて…人生何処でどうなるか判ったもんじゃないよね。
「神崎、帰ろう!!!」
そうガラガラと、神崎の教室のドアを開ければ…教室の隅に、神崎と如月がうずくまっている。
どよーんとした重く濁った空気に、神崎達の魂が抜けかかっている。
「どうしたんだよ、テスト終わったばっかじゃないか!!!」
ゆさゆさ揺らしても、彼らは"こちら側"に帰ってこない。
どうしてこう…神崎達は、突っ込みどころ満載の行動ばかりとるんだろうね。
思わず口が先に出てしまうよ。
「帰ったら…テストの答え合わせさせられる…」
「それで、間違ってるの櫂が知ったら…俺…」
紫堂のスパルタは相当なものらしいんだ。
それを師匠から聞いていたから、ボクは単独行動で自力で勉強していたんだけれど。
神崎と如月はテスト勉強で何故か筋肉痛。
間違ったらスクワット300回、紫堂が課したらしい。
つまりスクワットばかりしていたわけだ。
紫堂――。
あれだけ神崎にベタ惚れしているくせに、例え神崎でもやる時は徹底的。
さすがは完ぺき主義の『気高き獅子』。
ま…愛のムチなんだろうけどさ。
その猛勉強が最後となった昨夜、神崎と如月が…あまりにも「地獄」だの「ストレス発散」だの言って終了後にカラオケ行こうと盛り上がっちゃったから、拗ねた紫堂と、如月とのデュエットを危ぶむ師匠がカラオケ阻止した…『答え合わせ』。
昨日の日本史のテスト問題に書いた答えを見ただけでも、酷かったらしく…今日の打ち上げカラオケは禁止、早く帰って答え合わせ後、復習ということになってしまったんだ。
それを嫌がっている神崎と如月。
今日もまた、相当出来が悪かったらしい。
師匠とのお試しかかった時は、2人して高得点だったくせに。
やれば出来るのに残念な子達だよ、全く…。
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