「なあ櫂。お前…まだ"ぱふぱふ学園"のコピー持っているか!!?」
「煌、櫂を巻き込まないで。櫂がそんなもの見るわけないじゃない!!」
「櫂、なあ…禁欲中を乗り切れたのは、"ぱふぱふ学園"のおかげなんだよ。あれがなければ、俺…」
「何であたしを見る!!? って…櫂。何でそんなに汗掻いて焦るの!!? 櫂はそんなもの知らないんだよね!!?」
「櫂、櫂!!! まだあるかないかだけでも教えろよ!!! 俺達幼馴染だろ!!? なあ…もしなければショックで…夜這いしちまうかも知れないぞ!!?」
「だから何であたしを見る!! 櫂、ないよね、そんないかがわしいもん!!」
「……あ…俺は…」
「見たかどうか、使ったかどうかなんて聞いてねえ。あるかないかでいいから!!」
「だからあるわけないでしょうが、この馬鹿犬!!! あたしの櫂はそういうことを一切無縁な神聖な男なの!! 使ったって何に使うというのよ!!? それにね、見たか見ないかなんてより、持っていたという事実だけで、あたしショックで櫂と口利けなくなる!! ありえないッッ!!」
馬鹿だ…。
「あ……その…」
「「櫂!!!」」
せりも馬鹿だけれど、周りも馬鹿だ…。
"ぱふぱふ学園"でこんなに盛り上がるなんて。
「「櫂!!?」」
けれど、紫堂櫂の狼狽の姿は中々に心地よい。
あの仏頂面が崩れる様は、見ていて気持がいい。
「芹霞さん。失礼します」
今まで大人しかった葉山桜がすくりと立ち上がり頭を下げると、オレンジ色の巨体の襟首を片手でむんずと掴み、ずるずる引き摺って部屋から出て行き、
ドカッ。
バキッ。
犬の…悲鳴。
そしてまた同じように引き摺って戻ってきた葉山。
オレンジの犬は頭を手でさすって大人しくなり、
紫堂玲はまだげほげほして。
紫堂櫂は汗を手で拭って安堵の溜息。
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