くすくす笑う玲くん。
ぐ〜。
「食べてみても…いい?」
「この中のものはティアラ姫と椅子以外は何でも食べれるよ、お好きな処からどうぞ?」
「で、では…ちょっとテーブル…」
カジカジ…。
「!!!!!」
テーブルが食べれます。
美味しいんです!!!
「どう?」
「おいひい〜。じゃあ壁も失礼して、カジカジ…」
「どう?」
「おいひい!!!!」
幸せだ。
あたし幸せだ!!!
食べられる家。
お菓子ばかりの家。
小さい頃からどんなに憧れただろう。
「玲くん、凄い、感動、涙ぼろぼろ!!!」
あたしは泣きながら、おいしい家を齧っていく。
勿体無い。
だけど食べたい。
美味しい。
凄く美味しい。
どれくらい時間かかったんだろう。
どれくらい労力を使ったんだろう。
たかが…ホワイトデーなのに。
だけどその気持ちが嬉しくて。
あたしの嬉しくなることばかり、いつも考えてくれる優しい玲くんに、胸はきゅんきゅんして。
「ありがとう、玲くん。
もう…大好き!!!!」
そう抱きつくと、玲くんは微笑む。
「ねえ…芹霞」
顔を上げれば…
「僕はどう?」
途端――
「!!!?」
玲くんの艶めいた眼差し。
と、突然…なんでアダルトバージョン!!?
あたしお礼言っただけだよね!!?
「れ、玲きゅんも…おかちでしゅか!!!」
うわ、カミカミだ。
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