「ん……」
目の前には大画面のシューティングゲーム。
傍にある大きな銃器の形をしたもののトリガーを引いて、画面の敵を打つらしい。
敵はゾンビだった。
やはり初めてのものだけれど。
僕はお金を入れた。
「うわ〜ゾンビ出てるか、このゲーム!!? "死んだ"ゾンビした出てこないじゃないか!!」
「出てるはずだけれど、その前に…あいつの動きが速すぎて、俺たちが敵だと認識する前に、倒されているんだ!!!」
「待て待て待て!! あれボスだろ!!? 何でボスからの攻撃がないんだ!!?」
「ボスからの攻撃の前に、あいつの攻撃が早すぎるんだ」
終わっちゃった。
ん…。
簡単過ぎてイマイチ。
僕は終わってからも、不満を示すように、何度かトリガーをカチャカチャと指で弄った。
隠し画面も何も出てこない。
つまらない…。
「何、あいつの…不満げな顔!!」
「何で満足できてねえの!!? 最高得点のくせに!!!」
「俺、あれクリアするのに、1600円連続投入したんだぞ!!?」
由香ちゃんと格ゲーしたいな。
でも由香ちゃんも学校だし。
僕は、不完全燃焼状態でゲームセンターを出た。
戦利品はティアラ姫。
奪われたのは、50円の大根2本。
失ったものの方が大きい気がした僕は溜息をつき、家に帰った。
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