*******煌Side
「…お前ら目立つんだって」
振り返る先には、櫂と玲と桜。
「だから変装したじゃないか」
玲は"約束の地(カナン)"でコスプレに目覚めたのか…女装ではないにしても、
「お前、何処から調達したんだよ、その桐夏の制服」
「櫂のを借りたんだ。どう? まだ僕イケる?」
にっこり。
ああ、こいつと桐夏に通学してなくてよかった。
櫂と玲が2人揃っただけで、絶対大騒ぎだ。
女共に行く手阻まれて、思うように動けなくなるだろう。
「で、桜…お前までもか?」
半分呆れながら。
しかし…こいつも男装…凄いイケてるんだよな。
まあ…男なんだけれどよ。
俺だけじゃん、変なのは。
ああ、同じ制服着てこなきゃよかった。
「何落ち込んでいるのさ。皆高校生姿の方がいいだろ? 学生がよく通る大通りに面しているんだし、目立たなくて」
「だから〜〜ッッ!!! お前らは何しても何着ても目立つんだってッッ!!!」
駄目だ。
尋常じゃねえ程の美形って、自覚が薄い。
まあ玲は、判っていて楽しんでいるフシはあるけどよ。
「で、何処にいる?」
ぞくりとする、冷たく鋭い声。
絶対零度。
やべえよ、櫂…凄く機嫌悪い。
「あそこだ。そこのショーウインドウから見えるだろ、レジの処でへらへら笑っている男」
指さしたが、ぬいぐるみが邪魔でよく見えねえらしい。
「突撃する」
物騒なことを言い出し、櫂がすたすたと…入り口を開けた。
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