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******芹霞Side

「んんと、じゃあ紅茶の茶葉用意して貰える? 櫂はニルギリ、煌はオレンジペコ。あたしは…アップル、桜ちゃんは何にする?」

「櫂様と同じで」

「それに、アールグレイをティースプーン一杯ずつ混ぜてね。これは玲くんに教わったんだけれど、中々に…ああ、玲くんも呼びたいな」

玲くんだって家でお仕事頑張っているんだから、1人除け者にはしたくない。

「玲くん? 桜ちゃんの修行が中止になって、何か皆がケーキ持ってうちに寄るみたいだから、玲くんも来ない? え? もう家出てる? 何だ、櫂から連絡あったんだ。玲くんは紅茶は何がいい? あたしと同じ? じゃあアップルね。それじゃ気をつけてね」

さすがは櫂。そのつもりだったらしい。

桜ちゃんは気が利く子だから、ひと言で10くらい察することが出来る。

あたしが電話をしている間に、玲くんの分の茶葉を用意して、全員分のティーカップを温め始めた。

玲くんもそうだけれど、本当にいいお嫁さんになれそう。

「櫂様は…家では珈琲ばかりなのに、芹霞さんが作る紅茶は飲みますよね。何ででしょうね?」

突然桜ちゃんがそう言った。


「え? あ、そうだね。あたしが選んだ茶葉が気に入ったのかな?」

「愚問…でしたね。芹霞さんが自分の為に選んでくれたものを…櫂様が拒否するはずありませんものね」


それは何だか哀しそうで。


「桜ちゃん、どうした? 桜ちゃんも、欲しい茶葉あったら言ってね、あたし頑張っておいしいの選んでくるから」


いつもいつも桜ちゃんは。

"櫂様と同じ"

そればかりで。

自己主張が烈しい部分もあるくせに、皆の前では櫂と同じにしたがる。

それも自己主張といえばそうかも知れないけれど、何だかそれは寂しい主張だ。


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