「さすがは櫂だね。もう行き着いちゃったか。はあ…僕、何やってたんだろ」
玲くんは、ゲームで時間を消費したのを悔やんでいるらしく。
「玲くん、プリクラ撮ろうよ。撮ったことある?」
「うん…一応…」
言い淀む雰囲気からすれば、前カノとかな?
「じゃあ判ってるね? 今日の記念に。ええーと、フレームはどれに…」
すっと玲くんの手が伸びて。
「10回、ポーズとって映すのってやったことないから」
「でも10回って…疲れるよ?」
あたしは髪を手櫛で整えながら、玲くんの隣に座る。
「玲くんはどんな顔していてもばっちりだからいいけど、あたしは可愛く10回なんて絶対無理だし。ああ…誘ってなんだけど、玲くん…あたしと一緒でごめんね?」
大胆なことをしでかしてしまったと思う。
よりによって白い王子様と一緒の写真なんて。
考えてみるだけでも、お似合いじゃないの一目瞭然で、そんなものを記録として残すなんて。
『じゃあ、1回目行くよ?』
機械の声。
「ごめんって…それは僕の台詞だよ」
そんなことを玲くんは言って。
『3・2・1…』
「我慢出来なくて…ごめんね?」
え?
あたしは玲くんに強く引き寄せられて、
「好きだよ?」
「〜〜!!!?」
カシャ。
見事なキスを撮られた。
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