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茶髪にピアスぷらぷらさせて、締まりのない口をして。

もうそれだけで嫌になる。

「ねえねえ、どっか行こうよ?」

お前達こそ、勝手にどっか行け。

そう睨んで立ち去ろうとしたら、腕をがしっと掴まれて。

「そんな顔したら、可愛い顔が台無しだよ?」

女ならば誰でもいいのか。

「あたしは可愛くないので」

そうつんとしたのが気に入らなかったらしい。

「はあ、何!? 俺達に喧嘩売るの!? 知らないの、俺達、『ダークスネーク』っていう族の幹部で…」

その時、視界に切り込んだ橙色。

「『ダークスネーク』ってのが、何だって?」

顔から汗を流して、荒い呼吸をしている煌が居て。


「お、おい…このタッパに、橙色とピアス。あいつじゃねえか? 1人で仁流会潰したって言う、如月…」

「如月、煌!!?」


指をさされた上にフルネーム。

煌の野生的な顔が険阻に歪む。


「ああ、俺は如月煌だけど、『ダークスネーク』の幹部さんが…俺の女に何用だ!!!? 返答次第によっちゃ、生かしておかねえぞ!!?」


その恫喝に、固唾を呑んだのはこのフロア全員。

煌はあたし達にはあどけなく笑うけれど、他人には…しかも怒れば半端無く怖い男だ。


「き、如月さんの…女!!? し、失礼しました〜」


1人の男が、泡吹いて気絶寸前の前列2人を鷲掴み、足早に去っていく。


「はあはあ…芹霞、何もされてねえな?」


あたしを覗き込む褐色の瞳。

それは変わらず、あたしの知る煌のもので。


「あんたの女って何よ!!?」

「開口一番がそれ? じゃあ何て言えば良かったんだよ。ただの幼馴染に手を出すなって?」


少し拗ねたように煌が言った。


「い、いや…まあ、ありがとう助けてくれて」

ぺこりと頭を下げると、ぽかりと頭を叩かれた。


「突然走って行くな!! すげえ走り回ったんだからな!!? しかもナンパされてるし。だからもう…目が離せられない」


そう言って煌は、あたしの腕を掴んで、今まであたしが座っていた椅子に、隣同士に腰掛ける。

周囲の人間がそそくさと立ち去ったのは…きっと偶然、気のせいだ。


「で、どうしたよ?」

「え?」

「何で泣いた? 何で俺が嫌い?

俺…なんかしたか?」


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