*******芹霞Side
洒落っ気のない煌の、"格好いい"服選びは楽しかったりする。
無自覚故にシャツとジーパンが多いイイ男が、こんな処でのイイ服きたら、どれくらい変身するんだろうか。
年相応のものから、モデルが着そうなものまで、兎に角目に付いたものを全てかき集めてみた。
あの店員の選ぶ服はどうも好きになれない。
煌の橙色が目立たなくなるんだもの。
もっともっと煌の方が目立つような、引き立て役の服を選ぶのが基本でしょう?
煌は服のために存在してるんじゃなく、服の方が煌のために存在しているの。
勘違いしないで欲しい。
そして試着した煌の姿に愕然とした。
うわ…こいつ、此処まで格好いいのか。
灯台もと暗しとは言うけれど、長く暮らしすぎた分…そして櫂と共にいすぎた分。
あたし自身も、煌の美貌を過小評価していたらしい。
煌の美貌に服なんか及ばない。
店員の目がハートになっている。
無性に…むかついた。
煌なのに。
煌のくせに。
まるで知らない人みたいで、遠くにいっちゃう人みたいで。
櫂の変貌時に受けたショックが蘇った。
何へらへら笑っているのよ、煌。
いつもの厳つい顔はどうしたの?
変わらないで、あたしを置いていかないで。
そう思ったら、涙が出た。
「煌なんて、嫌い!!!」
気づけば店を飛び出していて。
冷静になれば、あたしが悪い。
目茶苦茶悪い。
大きな溜息つきながら、中央広場の長椅子に座っていると、
「彼女〜、1人〜?」
下卑た笑い浮かべる、チャラ男3人組。
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