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学生で溢れかえる駅前デパート。

見渡せばカップルばっか。

まあそうだろう、だから来たんだ。


「あんた…変な場所知ってるんだね。此処…女の子がデートに行きたい場所NO1で雑誌に載ったんだよ? 弥生が言ってた」

「へ、へえ」


俺だって…宮原&遠坂コンビから手渡された雑誌見て研究したんだ。

しかし世の男ってのは、こんな涙ぐましい努力してんだろうか。

世の女ってのは、こんなに楽天的でのほほんとしてるんだろうか。


「あんたは夜専門だと思ってた。あっちの…いかがわしくて有名なネオン街」

「〜〜ッッ!!! だから!!! 香水女とは手を切って、禁欲してるんだって!!! 言っただろう、俺はお前だけしか欲しく…」

「こ、声大きいって!!! しぃっ、しぃっ!!!」


真っ赤になった芹霞が慌てて、唇に人差し指をあてた。


「それじゃなくても煌は、目立つから注目されているのに…」

「醜男で悪かったな」

「違うってば!!! 男は怖がってあんたから遠ざかり、女も怖がるか見惚れるかのどっちかで…あたしの周りって、どうしてこんなのばっかなんだろ。一緒に歩くあたしとしては、溜息ばかり出るわ。もう嫉妬の目にも慣れたけどさ」

「は? "見惚れる"? お前馬鹿にしてね?」

「絶対信じてないよ、この男…」


見惚れるってのはイイ男に言う台詞だろうが。

例えば櫂とか玲とか…桜、もか?

俺はただ笑われているだけだって。

それよか男の視線。

ああ、何でこんなヤラしい視線の中、歩けるのかな芹霞は。

俺貼り付いてねえと、男寄りつくじゃねえか。

お前等相手いるなら、芹霞に色目使うなよ、全く!!!


「何威嚇してるの、煌。あんたが睨んだらシャレにならないんだって。あたしは櫂じゃないんだから、そこまで周囲に警戒しなくていいから」


ああ、この無自覚女、張り倒してやりてえ。




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