********煌Side
芹霞が勉強漬になっていて、俺に構ってくれない。
飯作っている時も参考書を片手にぶつぶつ、風呂場にも持って行ってるらしい。
待ちに待った芹霞との生活なのに、なんて味気ない現実。
俺、ちゃんと告ったのに…そりゃないんじゃね?
少しばかり強引に…攻めに出ようとも、
「絶交されたい?」
最近この技で、俺は何も出来なくなる。
迂闊に、"やれるもんならやってみれば?"なんて言ってしまえば、芹霞のことだから絶対意地でも実力行使に出る。
きっと芹霞の視界から、俺の色は完全に消える。
飯だって作って貰えねえ。
確実に緋狭姉の妹だ。
そこまでして玲と"お試し"したいのなら、俺"最終日"邪魔しなけりゃよかった。
きっと櫂だってそう思ってる。
芹霞の"好奇心"を甘く見すぎていたんだ、俺達幼馴染なのにさ。
――デートに行ってくれば?
沈む俺を見かねて、遠坂が言った。
櫂のおかげで、テストする羽目になったのは、遠坂や宮原も同じで、休み中よく神崎家に勉強会にくる。
だけど判ってるよ、こいつら…櫂や玲の回し者だ。
俺が芹霞襲わないよう…監視役なんだろうな。
今まで"お泊まり会"なんてやってねえくせ、何で連日なんだよ。
日々やつれる俺。
ある日、芹霞が手洗いに立った時、女2人は言ってくる。
――神崎にも気分転換必要だし。堪え性無い如月の暴走が怖いよ。
――そうそう。芹霞をぱっくり喰わせるわけに行かないの、私達。
何だよ、皆して。俺見れば芹霞に襲いかかるとかそんなことばかり。
犬でもあるまいし。発情なんて…まあ、それは置いといて、だ。
俺、1つ屋根の下、今まで手を出さなかったじゃねえかよ。
――それは如月くんが鈍いから。
――そうそう、自覚したら暴走まっしぐら。
俺、一体何なのよ。
――格好いい服でも選んで貰って、"デート"してきたら?
――そうね、案外芹霞も、如月くんを見目が変わるかもよ?
――"煌、何かドキドキしてきた"とか言い出しそう、神崎。
………。
買い物決定だ。
俺の正念場。
絶対、芹霞を意識させて見せる。
これ以上、あいつらに差をつけられてたまるかっつーの!!!
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