こんにちは、藤宮です。

日頃、拙作を愛して頂き、ありがとうございます。

拙著「ひめがたり〜いばら姫に真紅の薔薇を〜」につきまして、少しコンセプトや構成などをお話したいなあと思います。(サイトでずっと工事中にしていて書いてなかったことに気づきました…)

裏設定などに興味ない方は、スルーして下さいませ。





藤宮は元々推理畑(若干ファンタジー)で本を読み育ちました。

王道と呼ばれるものよりは、読者の予想を裏切るような意外性のある…ひねくれたややダークなものを好んでおります(お判りかと思いますが(笑))

試行錯誤ながら、藤宮は全て先に結末を作ってから、5人+αに共通するテーマや象徴語を定め、全体を構成して(キャラ設定も)、伏線を張るタイプです。

推理小説ではひとりの一人称か三人称の書き方が主流であり、神である作者の意図によって、読者様を1つに誘導したり引き込んだりします。

ですが、私の場合、無謀にも5人視点で描いており、更に現在と過去が入り乱れ、物語の内容上それぞれ隠したいことも、知りたいことも、情報量も、考え方、閃き方もバラバラです。何を重要視しているのか一定していない状況です。

この話は表面上は謎解きの形をしていますが、これらをまとめて推理ものとして話を進めていくのは、私の技量ではとても難しすぎて、さてどうしようと藤宮はまず困りました。
(全員何も知らないという前提の話にすればよかったんですが…最後を書きたくて)

そこで既存概念は捨て、読者様と共に何か「体感」出来る話を作れないものかと開き直ったのが…このシリーズを書いている根幹にあります。(だから好みは推理やミステリーでも、この作品がそのジャンルに入るとは思っておりません。ホラー…っぽいかもしれませんが…恐怖を追及しているわけでもないので、それもな…という感じで)

「いばら姫〜」のひとつのテーマは「いばら」。苦痛を与え身動きできないものです。

それを考えた時、伏線というよりはテーマへのキーワードのような難しい言葉やその語り手しか判らない単語、本能(←これも藤宮は重要視してます)に連結した嫌悪感などのダークさを、一方的に捲き散らすことによって、読者様に「!!?」と足止めして貰おうと思い、都度徐々にその意味を明るみにさせていく昔ながらの典型的な推理の形を勝手に(笑)やめました。全てを知る天才探偵役がくるまで(笑)、手の内さらして(全てではないですが)放置プレイです。

そんな感じで、読者様の「わけがわからない」「何があるのか読み取れない」的な消化不良感を、闇の中でうねうねと乱れ生える「いばら」のように、読者様の足をひっぱる効果に出来ないかな…などと考えてしまったわけです。

説明がない単語については解釈して貰おうというより、そのワードに何かあるんだな程度で、彼らと共に立ち止まって貰いたいのが、前半(T巻)における藤宮の心です。

わけがわからないのに展開が進む苛々感は、きっと「彼ら」も同じ。彼らがどんなに苦しもうと、状況は不可抗力的に進んで行く…。取り残された感を感じながらも。

私的には、童話「いばら姫」において「いばら」に囚われた王子様達も同じ思いではなかったのかなあと思っています。身動き出来ないのに、時間だけは過ぎ去り…そして結局はもどかしいまま朽ち果てる。物語的には朽ち果て貰っては困るので、キャラ達には頑張って貰ってますが(笑)。

窒息感だけなのも息苦しいので、恋愛はコメディタッチを挟んでみたり。気づけばこの話、キャラ達「成長記」の意味合いの方が強くなってしまった感がありますね。
とりあえずまあ、成功しているかどうかはおいておいて、私的には本当に試行錯誤で色々試しておりました。


二度読みして伏線を探すのが楽しいという感想をよく頂きますが、藤宮の色々な話を何度も読まれている方はお気づきになると思いますが、物語の結末に誘う藤宮の意図する複数の伏線は、本当にさりげない(=どうでもいい)処に混ぜ込んでいることが多いかもしれません。それは日常行動に含まれていたり、何気ない日常会話にあったり、小道具にあったり。または、あの方々の必然な行動であったり(決してあの方々は遊んでいるわけではないのです)。

物語によって伏線の色は違えていますが、全シリーズ変わらないのは象徴する童話をベースに物語を組み立て、そこに類するものを(藤宮の独自解釈が多いですが)メインの伏線にと考えていること。童話の内容もまた、物語の伏線にさせて貰っています。

いばら姫〜は特にそれが顕著なので、あ、ここの行動の意味は童話のあの部分のこと?などと推測して楽しんで貰えれば嬉しいです。(書籍版ではサイト版よりそれを追加しました)

しかしあからさまに変なものが乱発された場合は、それは物語の結末に直結する伏線というより別の意図が多いでしょう。(たまに裏切ることはありますが)

あからさまの処を直接的な伏線にするのは野暮ですから、フェイク的な伏線もどきと、それが隠す本当の伏線(テーマに至らせるもの、物語の結末に至らしめるもの)ばかりを延々と考え、うんうん唸りながらこのいばら姫はうまれてきました。

テーマひとつにしても、別視点では意味が違う。
だから視点が変わればまた違う話になるように。

また、それを総合して読み、更にひとりの登場人物として、共通テーマを体感して欲しい読者様にとっての物語にもなるように
(それがたまに三人称が混ざる理由です)

こんな贅沢すぎる目的を持って意気込んで書いていましたが、はい、まだまだ力不足です…。

藤宮もいまだ「いばら」の中(笑)。


私は言葉の可能性を色々考えて書いていきたいと思います。


「いばら」に巻かれた状況は何か。

「いばら」を解くためには何が必要か。

「いばら」を解いた後には、何が見えてきたか。


それぞれの視点で、恋愛側からでも答えが出て来て下さいましたら、此程書き手にとって嬉しく思うことはありません。

この話には無傷な者達は出て来ません。

傷つき悩みながら歩いて行く。

そんな彼らが成長し、その行く末が希望で満ちているように、作者共に願って頂ければ幸いです。






藤宮


2013/06/09


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