最後のページ
 琥太郎作成の親衛隊マニュアル。
 最初の方は親衛隊の在り方についてだ。良い、悪いの主観は琥太郎の、風紀委員の考えにのっとっている。
 簡単に言えば、良い親衛隊は他人に迷惑をかけない。悪い親衛隊はそういうことを顧みない。
 その次に、どうしてそうなるのかの起因として親衛隊に統率があるない、リーダーである隊長の考え方。そして、親衛隊の象徴たる、気持ち向けられるものの対応。そのタイプも色々と分かれている。
 そしてこういう風に対応すると良い、という例があり最後のページ。
 親衛隊を持つ者の責任、そして風紀委員の対応があるのだ。
 その対応に、英吾はとばっちりという。
 親衛隊を容認し、それを放置している場合――その親衛隊が問題を起こしたのなら、その親衛隊の対象者の管理能力を問い処罰を与える事もあると。
 親衛隊を管理している上で何か問題が起こった場合もまた処罰はある。それは謹慎、停学の可能性を示していた。
 それと同じくらいの処分がありえる。そう、マニュアルにはあった。
 けれど、譲歩もあるのだ。
 もし、自分で管理をしており風紀に協力をしていたならば問題が起こった場合、なおかつ本人の預かり知らぬところだったなど状況において多少考慮すると。
「……停学とか謹慎とか、これっておどしでーすーよーねー。ひどいなー、内申書に響いちゃうじゃないですかー」
 その言葉ににっこりと琥太郎は笑む。にらめっこするように、美景と合わせていた視線を少しずらしてだ。
 英吾はひとつ、深い深いため息をついてそして、わかったよーと呟いた。
「親衛隊とー、話をしてー、それで暴走しないようにすればいいんですよねー?」
 こくりと頷いて、そして琥太郎はその口を開いた。
「不安なら風紀の誰かが立ち会うし、その場所も時間も提供する。親衛隊を仕切ってるやつも見つけ出す」
「あっ! スオウしゃべった! 俺の勝ちだな!」
「あー、それは大丈夫ー。親衛隊の隊長、顔見知りだからー。でもー、先輩は立ち会ってもらえるとうれしいかもー」
「俺の負けだな。それはおいといて、時間と場所は俺が指定してもいいか?」
「俺も一緒にいくぞ!」
「ん、別にそれでいーですー。美景もきちゃうのー?」
「そうか、お前も来るのか……わかった、時間と場所を後で伝えるな」
 と、言うものの伝える気はなかった。
 きっと今言ったことは、もう明日には覚えていないだろうと琥太郎は踏んでいたし、実際その通りだ。
「よし、じゃあ終わり。もう帰っていいぞー」
「はーい」
「えー! まだ俺と一緒に遊べよ!」
「そうかー。うーん、でも俺、まだやることあるからなぁ。今晩、時間があったら寮で遊んでやるよ、時間があったら。遊ぶ準備しといて?」
 琥太郎はそういってだから先に寮に返れと美景を促す。美景もその言葉信じておうと元気よく返事をした。
 その様子を、英吾は見て笑う。
「いいんちょー、上手だねー」
「そうか?」
 その言わんとするところを英吾は見切っていた。
「うん、短時間ですごく上手」
 おもしろいなぁと英吾は意味ありげに笑う。それは少しうすら寒いと琥太郎は感じた。


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