【第七師団の破壊活動と回りの人たちの反応】というリクエスト
を、いただいたのですが書いた後でこれなんか違う感になった。
「活動日誌、国外編……」
夜会を抜け出し、いつもの図書室へ。
主は面白いものを見せてあげよう、と一冊の本、というよりも書の綴りをくれた。
イシュドラがつけていたものだと主は笑う。
つまり、おとーさんの苦労日記と。
活動記録、その一。
キアティス15歳、と丸っこい字で書かれていた。その字が誰の筆跡なのか、見たこと内ものでわからない。これがイシュドラだったらびっくりだ。
隣国グランヘイムのとある山間の村。そこの化け物がでるという話があった。他の師団を派遣しようとしたら、すでにキアティスが行っていた。
好き勝手すぎて困る、とイシュドラは書いている。
結局、それは盗賊、山賊の類が化け物のフリをして人々を脅し、金品を奪っていたというオチだったらしい。
無事に解決し、全員逮捕。逮捕されたものはガタガタ震えきっていたらしい。
村人に被害は無し。だが山の一部が抉れたと綴ってある。
山が抉れたってどういうことだ、と思い次のページを捲るとクレーム処理済と赤い判子が押されたページが続いていた。
『怪物が怪物を食った。食われるかと思った。今でも夢に見る』
『裏山が抉れて作物が壊滅した』
『怪物の上に乗ってた人怖い』
処理は人々の心のケア。癒しの力を持つ精霊と契約するものを派遣し、抉れた山の修復にも、同じく樹属の精霊と契約するものを派遣とある。
第七師団の旅費よりもそちらのほうが格段にゼロの数が多い出費と、経費まで書いてあった。
「抉ったの、これ絶対キアさんだ……」
一体何をしたのかまではわからないが人々を怖がらせて迷惑をかけたことだけはよくわかる。
レクシスはその次のページへと進んだ。
活動記録、その二。
キアティス16歳。場所はオルシアの港町。
海に現れる大きな魚。それが漁業の邪魔をし仕事にならない。人の手ではどうにもならない、ということで依頼があったらしい。人の手ではどうにもならないのに師団に託すとはどういうことだ、と突っ込みがはいっている。
海ならば被害は出ないだろう、とイシュドラは判断してキアティスを派遣したとある。
師団の人、というかキアさんは普通の人じゃないだろう、とレクシスは思いつつ続きに目を向ける。
その、大きな魚を捕獲、もしくは退治が依頼だったようだ。
被害は船一隻。それは依頼主達も覚悟はしていた程度だったのだろう。フォローは新しい物を与えたとある。そこまでは必要経費、予想の範囲だったようだ。
そしてその魚は捕まえられ、皆で食したらしい。
なんだ、普通に解決しているじゃないかと思ったが次のページには、またクレーム処理。
『あれはこの世のものとは思えない』
『地獄をみた。夢にみる』
『一週間腹痛にさいなまれた』
「何をしたんだろう……あ」
どういうことだろうとページを戻す。すると下の方にかすれた字があった。
よくみてみると、皆で料理、なんということを、とある。
つまりカオスクッキング発動ということなのだろう。
死人がでなかっただけ、マシ。そう思って次のページへ。
活動記録、その三。
喧嘩両成敗。
「……これだけ?」
その三はそれだけしかなかった。
レクシスは主にどういうこと、と視線を向ける。
「ああ、それは……国境で小競り合いがあったんだ、他国の」
グランヘイムとオルシアの国境での小競り合い。
互いにその国の軍の小隊を排し、争おうとしていた。そのまま放置しておけば国同士の争いとなる。それを見越して、イシュドラは師団を派遣した。
それは第一師団も一緒のはずだったのだが、上手に言いくるめて第七師団だけとなっていた。
二つの小隊が交戦を始めた所に、第七師団が、というよりキアティスが入り込みその戦いを止めたという。
戦いを止めた、というより乱入して全部殴り倒した、とかとか。
「丁度、シェイルリートといちゃいちゃし始めた頃で。いとし子がちょーっと怪我をしてシェイルリートがカーッとなってその場にいた精霊をすべて総動員して駆逐したとかなんとか、だったはず」
「わー……」
ちょっと想像できる、とレクシスは零す。
それが、キアティスが悪魔と呼ばれる所以となったとか。
阿鼻叫喚地獄絵図、そこにいた他国の軍はその時のこと今でも時々夢に見るらしい。
邪悪な笑みをたたえた男と、それに付き従う精霊達。
「でも死人はでてないしね。グランヘイムとオルシアの両国も、喧嘩両成敗で揉め事しないに落ち着いたというし」
派手にやったけれどイシュドラの狙い通りの結果になったと主は笑う。
「まぁ、その一体は今でも焼け野原だけど」
草木も育たぬ果てた土地。
今はそこは、人の立ち寄らぬ地となっているらしい。
これキアティスさんの破壊活動の記録状態。