理由をしらない
 組織を抜けた彼がいる場所。
 それは古くからある排他的な学園だった。どうしてそんなところにいるのかはわからない。
 けれどいるならここに潜入し探し出す。
 殺せ、といわれた。けれど実際、どうするかわからない。
 何せ相手は彼なのだから。
 逆に僕が殺される可能性だってある。それならそれでも、別にいい。
 変装上手な彼。僕は見つけられるだろうかと不安もあった。
 けれど見つからない、とは思わなかった。
 彼はやさしい。僕を見ればきっと、尻尾をだすだろう。けれどすぐに隠してしまう。
 ああ、と僕は思う。
 彼をみつけたら、まずきかなくちゃと。
 どうして目の前からいなくなったのか。
 僕はそれを知らない。皆は知っているのかもしれない。けれど僕は知らない。
 彼の口からそれをききたい。
 あの涼やかな声で、ききたい。



 しょうもない理由やで、それ。
 とか、知ってる人は思うレベルの理由に違いない。


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