・もしもファナリス主と審神者ちゃんが恋仲になったら。

「あ、あの。なまえくん。好きです!」


ある日の午後。
本日のメニューは新鮮野菜のサラダにオムライスに手作りプリン。きれいに完食されて、ご飯粒一つ残っていない皿を、なまえが出陣や内番や遠征やらで居ない皆の為に洗っていたその時。自室に戻っていたと思っていた審神者が、ひょこりと顔を出した。「主?」「あの...今日のご飯も美味しかった」「そうか。そう言ってくれると嬉しい」「...じゃあ毎日言う」「楽しみにしてる」と、何気ない会話をして、なまえが「その宣言をしに来たのか」と尋ねると審神者は顔を真っ赤にして冒頭の台詞を口に出した。


「好きって、何が」
「えっ?」
「プリンなら材料があるので今からでも作れるが」
「いやいや、そうじゃない。プリン美味しかったけどそうじゃない。」
「オムライスか」
「なまえくんだよ!!!」


自分の真意が伝わらずに思わず声を荒らげた審神者を、なまえはきょとんとした顔で見る。今日のご飯の話をしていたものだからてっきりその話だと思っていたが、違ったらしい。


「主が、俺を好き?」
「.....うん」
「改めて言われると照れるな。...俺も好きだ。」
「!」
「いつも俺達の為に頑張ってくれている主を、尊敬している」
「えっ.....」
「これからもよろしく頼む」


そうじゃないんだよ。と、審神者は頭を抱えた。今現在審神者がしているのは、愛の告白だ。審神者と刀剣男士の関係から、恋人同士の関係になりたいと提案しているのだ。その提案を、なまえは全く理解していなかった。あくまで審神者と刀剣男士という関係の中での“好き”だと思っている。
これは、直球で行くしかない。審神者は意を決して口を開いた。


「そういう意味じゃなくて...、ええっと...私を、なまえくんの恋人にしてくれませんか?」


ガシャン、と、なまえの持っていた皿が落ちる音が響いた。





告白をして、審神者となまえの関係は明らかに変わっていた。あの日の午後からなまえは審神者が視界に入る度に顔を赤らめてそそくさとその場を後にする。それは審神者にとって悲しいものではあったが、その分意識している事が認識でき、嬉しくもあった。
しかし、このままでは埒が明かない。意識している今こそアピールするチャンスである。審神者は両の手のひらをぐっと握りしめて気合を入れた。


「なまえくん」
「...主、」


なまえを廊下で偶然見つけた審神者は、周りに誰もいない事を確認して、なまえに声をかけた。


「この前はあやふやになっちゃったけど...、返事、考えてくれた?」
「......」


じわじわと顔を赤く染めるなまえを、きゅんきゅんしながら審神者は見つめる。瞳も髪も赤いなまえの顔が赤く染まると、まるで林檎の様で大変可愛らしい。


「...俺は...、今まで主をそんな風に見た事は...」


ドン!

審神者が、なまえを壁に押しやって、所謂壁ドンを披露した。いきなりの事に目を丸くするなまえに、審神者は一言。


「これから、そういう風に見させてあげるから...ね?」
「.....っ、...ああ...」


勢いとその場の空気に流されたなまえが思わず肯定的な返事をしたのを聞いて、審神者はニッコリ笑った。
これが、なまえと審神者のドタバタラブコメディの始まりである。


***



「っていう夢を見たんだけど、最後私となまえくんポジション逆じゃない?」

「それを俺っちに言われても」




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刹那様、リクエストありがとうございました!

まさか審神者ちゃんとのお話のリクエストが来るとは思わなかったです。恋仲になったらと言うより恋仲になるお話になってしまいましたが、個人的に楽しくかけました(笑)



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