02

3A、仁兎なずな。1A、紫之創。1A、真白友也。1B、天満光。転校生ちゃんに教えって貰ったRa*bitsのメンバーの名前とクラスを思い浮かべては、笑が零れる。どんな性格なのかな。ファンって言ったらどんな反応をするかな。考えるだけで楽しい。しかしそんな幸せな時間も、もうすぐ終わり。俺は、自分の鞄から除く白いユニット衣装を睨みつけて溜息を吐いた。


キーンコーンカーンコーン。

と、チャイムの音が響いてHRも同時に終了した。折角クラスや名前が分かったのでRa*bitsのメンバーを探しに行きたいところだけど、生憎今日は自分が所属するユニットの活動日。やる気起きないな〜。と欠伸をしながら机につっ伏すと、同じようにつっ伏す朔間を見つけた。そしてその朔間の幼馴染みの衣更が朔間を何処かに引っ張っていった。今日も保護者役ご苦労様ですと脳内だけで敬礼すると、「名前!」と大きな声が背後から聞こえて、俺は思わず肩を跳ねさせた。


「守沢先輩...」
「どうせ今日も自力ではレッスンに来ないと思ってな!迎えに来た!」



何が面白いのか語尾に☆をつける勢いで豪快に笑う守沢先輩に顔を顰める。守沢先輩って面倒見はいいんだけどノリについていけない。

ほら、と慣れたように両手を差し出す守沢先輩に“レッスン面倒臭いです休みたいです”と念を送りながら見つめるが、「どうした」とはてなマークを飛ばされたので、諦めて、守沢先輩の手に、自分の手を重ねる。途端、グンと力一杯引っ張られて、思った以上に勢いよく引っ張られて呆然としたまま俺の体はポスンと守沢先輩の腕に収まっていた。意外と厚い胸板にそうかこの人バスケ部だもんなあと感心していると、不意に守沢先輩の手が俺の背中をまさぐっているのに気がついた。


「...え、何してるんですか?」
「ん?...んん!!? す、スマン、つい!華奢だと思っていたら体が勝手に!!!」
「いや別に...何顔赤らめてるんですか怖いからやめてください」


顔を赤らめながら人差し指で頬を掻いてなんだか甘酸っぱい雰囲気を醸し出す先輩に恐怖を抱き、何時もは担ぎ上げて貰う所をそそくさと自分の足でレッスンルームへ向かう。「名前が自ら歩いた...!!」と感動する守沢先輩に、いや自らの意思じゃなくアンタへの恐怖心ですけどね。と内心ツッコミながら黙々と歩き、しばらく歩いてついた今日は流星隊が使う予定のレッスンルームのドアを開けると、そこには一年生三人の姿が。


「おはようございますッス!苗字先輩!」
「...あれ、苗字殿、今日は一人でここまで?」
「え...そんな馬鹿な」


腹筋をしていた南雲、ゴム製の手裏剣を手入れしたいた仙石、スマホのゲームをしていたらしい高峯に出迎えられる。俺が自力で来たことに驚いている三人を「失礼だな」と軽く睨みつけながら、自分のバッグを隅においた。


「今日のレッスンの内容って何?」
「え、さあ......?」
「隊長殿が知っていると思うでござる」
「今日は迎えに来てないんすか?」
「いや、来たけど......」


さっきのまさぐり事件を思い出し自然と顔を顰める俺を見て、不思議な顔をする一年生トリオを無視して、ユニット衣装に着替え始める。
普段は学校指定のジャージなど動きやすい服装でレッスンをするのだが、今日は何故かユニット衣装。白いヒーロー服に腕を通し、軽く屈伸しながら衣装を体に馴染ませたその時。


「皆、待たせたな...!」
「うう〜、まだ『みずあび』が足りません...。千秋、もう少しだけ『みずあび』をさせて下さい」


暑苦しいテンションの守沢先輩と、びしょ濡れの深海先輩が現れる。どうやら俺が去った後、守沢先輩が深海先輩を迎えに行ったらしい。


「深海殿、びしょ濡れでござる!このタオルを使.....うわわ!だ、誰でござるか!?」
「うわ、何、仙石」
「...仙石君、何で名前先輩に抱きつくの...」



いつもの『みずあび』か...。と後輩ながらも無視した俺達を尻目に駆け寄った優しい仙石が、忍者らしく後ろに退いた。その際丁度近くにいたからなのかそのまま俺の背後に回って抱きつく仙石に若干きゅんとしつつ、慰めるように頭を撫でてやると、仙石はぽっと顔を赤く染めた。...かわいい。


「名前先輩は仙石君に甘い気がする...」
「諦めるッス翠君。苗字先輩はカワイイに弱いッスから...」
「拙者カワイイでござるか...?い、いや、そ、それより! 隊長殿の後ろに女の方が見えるのでござるが...」


仙石の言葉に、守沢先輩の後ろに視線を移すと、確かに女の人。そしてその髪型やら体型やらは、今日の昼休みに会った俺の恩人。Ra*bitsの事を教えてくれた優しい2Aの転校生。


「転校生ちゃん!」
「あ、苗字君...」


思わず顔を綻ばせて転校生ちゃんに駆け寄った俺に、俺以外の5人がギョッとした顔を披露した。


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