24

side審神者


「無銘刀、ビックリしてたな」


と、苦笑いする獅子王に、俺は頷く。

刀剣男士の出陣は、俺の霊力によって行われる。俺が「第一部隊、出陣」ときっちりはっきり真面目に言えば、その言葉に霊力が宿り、刀剣男士達は時代を超える。

その、時代を超える時の感覚が不思議な様で、初めて出陣する刀剣男士達は大抵慌てる。それは分かってたんだけどな、最近新入りが来なくて注意する機会がなく、無銘刀に「ちょっと不思議な感覚だけど、出陣するだけだからな〜」と言う事を忘れていた。


「あちゃ〜、無銘刀、慌ててないかな?」
「あちゃ〜?」


獅子王があちゃ〜、に疑問を覚えた様だが、説明が面どげふんげふん、無銘刀が心配なので素早く目を瞑って霊視する。「俺にも見えたら良いのに」ちょっと集中するから黙って獅子王。



***






不思議な感覚が終わると、俺はいつの間にか函館に来ていた。あの不思議な感覚は、時代を超える感覚なのだろうか。

...考えるのは後にしよう、今は出陣中だ。

気を引き締めて、走る。主が霊力で方向を示してくれているのだろうか、函館の時代は初めてなのにどこに向かえば良いのか分かる。


『あ』


思わず声が漏れた口を慌てて塞ぐ。

敵だ。
じっと観察して様子を伺う。キョロキョロと何かを探すように動いているうちに素早く距離を取りながら背後に回るが、気付いた様子は無い。

今だ!

と思って敵に一撃浴びせる。練度が低いせいか、一撃が軽く、手応えが無い。
流石に一撃では倒せない...と顔を歪めるも、背後を取って不意をついたせいか、相手の反応が遅い。素早くまた切りつけると、相手は思ったよりアッサリと地に伏した。


『かっ、...た?』


半信半疑で地に伏した敵を見つめていると、不意に力が溢れる感覚が俺を包む。
...練度が上がったのかな?

何か変化がある所は無いか、と自分の筋肉などをチェックしていると、上から何かが落ちてくるのが分かって慌ててキャッチする。


『サイコロ...ふ、振ればいいのかな』


あまり転がりすぎないようにそーっと振る。転がり終えるのを確認してから、サイコロの面を確認しに行く。寅≠ニ書かれた面を確認した瞬間、どの方向に進めばいいのかが分かる。

その方向に向けて走り出すと、直ぐに敵が見える。さっきの敵より、数が多い。

勝てるかな、と不安に思う気持ちを押さえつけ、敵に向かおうとしたその時、


あおい、何かが敵を切りつけた。



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