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side清光


「憧れる男といえば、頼れる男だろう」


赤い顔を手で仰ぎながら発言した長谷部に、俺を含め近くにいた全員が「えっ」と頭に疑問符を浮かべた。
お前無銘刀に憧れられたいの、という疑問はどうせ長谷部が真っ赤になって狼狽えるだけで終わるだろうから飲み込み、確かにそうかもしれないけど、頼れる男とさっきの行動がどう結びつく訳?と、俺が長谷部を若干睨むと。


「頼れる男と言えば、自分にも他人にも厳しい男に決まっている」


と、ドヤ顔を披露した。


「長谷部殿、その...自分にも厳しいって部分が見えないのですが」
「そ...れは、これから見せていくつもりだったんだ!」
「ええ〜...何ヶ月かけるんだよその計画」
「...っ...!!」


ぐうの音も出ないという言葉を再現してくれてる長谷部。こいつ不器用だな...と内心呆れつつ、『...どういう...え...俺に...憧れられたいの??』と小声で狼狽えている無銘刀に直球に聞く。


「ねえ、無銘刀が憧れるのってどんな人?」
「!!」


俺の言葉に大袈裟に反応する長谷部。無銘刀を見つめるその淡い青紫色の瞳に、期待やら不安やら色んな感情が混じっているのがわかって思わず笑ってしまう。
長谷部って主関係以外でもこんな感情出せるんだな、なんて。


『...強い人に憧れる...?えっと...例えば、た、大切な人を守れる力を持っている...人と、とか?』


長谷部が無銘刀の答えに目を見開く。だからやめろって長谷部がこんなに分かりやすいと笑っちゃうじゃん。



「ハハッ、長谷部、同田貫と手合わせするとこまでは良かったんだけどな!」
「長谷部殿が考えた計画では普通に無銘刀くんを怖がらせるだけで終わりましたから」
「うるさいぞお前等...しかし、そうか。俺達刀剣にはそれが1番重要かもしれんな」

さっきまでとは打って変わって柔らかい表情になった長谷部は、無銘刀に向けて微笑んだ。


「さっきは済まなかった。...これからはややこしい事はせずに、強くなる。無銘刀は、俺の背中を見て成長しろ。怠慢は許さんからな。」


ちょっと台詞臭いんじゃない、って思ったけど、まあそこはご愛嬌だろう。『う、うん...』と無銘刀が返事をした事にご満悦の長谷部を見て、俺も獅子王も一期一振も笑った。


「うぃーっす、おはよう。お!無銘刀、今日は俺の近くで飯?いやー、眼福だな!」


こんなKYな主が来なきゃ良い感じだったんだけどね。でもそんな主も最高!



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