15


政府の人が帰ってから数時間後。清光と仲良くなったその日の夜、俺の歓迎パーティが盛大に行われようといた。

いつの間にパーティの用意なんかしてたんだろう。全く気がつかなかった。


「ええ〜、じゃあ、無銘刀の鍛刀を祝って〜ぇ」


俺に乾杯の音頭を取って欲しいと主に言われたけれど、全然知り合いが居ない状況でそれはと首を横に振って主に丸投げした。

最初は主役がやるもんだろと唇を尖らせていた主も、いざとなると他の刀剣男士達が「よっ、主!」「主ーー!」と主に声援を送るものだから、主もノリノリになって「乾杯!!」と声を張り上げていた。

そしてその主の声に沢山の刀剣男士が「乾杯」と反復して唱え、いよいよ俺の歓迎パーティが始まったのだ。


「やあ無銘刀君、僕の事覚えてる?」


俺の歓迎パーティ。何人かには話し掛けられるだろうと思っていたから、その心構えはしていたけれど、こんなにいきなり話しかけてくる人が居るとは思わなかった。
若干戸惑いつつ、どうやら会ったことのあるらしい男に視線を移すと、見覚えのある眼帯。


『えっと...燭台切、光忠さん...?』


確か昨日俺に晩御飯を配膳してくれた人。

俺の記憶力は正しかった様で燭台切光忠さんは「覚えててくれてありがとう」と、ニッコリ笑った。


「僕が言ってもいいものか分からないけど...まずは、この本丸にようこそ、って言っておこうかな」
『あ.....ありがとう』
「これ、つけてね」


本日の主役≠ニいう文字の書かれたタスキを俺にかけてから、燭台切光忠さんは会話を続ける。


「いきなりだけど、無銘刀くん、好きな食べ物はある?」
『好きな食べ物...』
「この本丸のルールなんだけど、3日ごとにひと品、短刀の子達の好きな物を作るんだ。短刀の子も沢山いるから回ってくるのは遅いんだけどね〜」


好きな食べ物...。
あれこれ頭に思い浮かべたけど、ピンとくる物が無い。


『ごめん...なさい、特に思いつかない、』
「そっかぁ」
『でも』
「うん?」
『昨日食べたご飯、美味しかった...です』


貴方が作ったんだよねと付け足せば、彼は目をしばらく見開いて。

それから少し顔を朱に染めて、「そう言ってもらえると作りがいがあるよ」嬉しそうに俺の頭を撫でた。


「じゃあ、これからのご飯で気に入ったものがあれば言ってね。好きな食べ物、探していこっか」


優しいその言葉に、俺は小さく頷いた。



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