14

side加州

昨日夜遅くまで無銘刀は絶対に政府に渡さないぞ作戦を練っていた一期一振と薬研が主に続いて寝てしまった後。(一期一振は作戦決定しても眠れなかったらしいけど)


『…、清光には赤が似合うから...これとか』
「あ、ありがと。...やっぱりこれいいよね、でもこっちの色も可愛いくってさあ」
『よ、よく分かんない、けど。この二色を組み合わせたり出来ないの?』
「えっ...その発想はなかった」



俺はマニキュアを褒めてくれた無銘刀と意外と意気投合していた。最初は友好的にしつつ主に一番信用されているのは俺だからアピールをしていたのに、どうしてこうなったんだろう。

でも普通にいい子なんだよな無銘刀。
現に今真剣にマニキュアの色の相談に乗ってくれてるし。それに俺より後の時代に生まれたからなのか、俺には無い発想力がある。うーん、無銘刀に比べたら俺も相当おじいちゃんなんだよね。


「ねえ、無銘刀の時代ってどんな感じだったの?」


無銘刀の生まれた時代は平成だっけ。と付け足しながら無銘刀に問いかけると無銘刀は小さく頷いた。

すっかり今は興味を無くしたネイル雑誌を閉じて無銘刀の方に身を乗り出すと、無銘刀は若干目をそらしながら言葉を紡いだ。


『平成は...すごく平和な時代だった。い、良いことなんだけど。...だっだから俺、殆ど鑑賞用で。主人も居なかったし、殆ど博物館に居て。あ、あんまり平成の世を知ってるって事、無い...だから、どんな感じかは分からない...えっと、ごめん』
「...それは...いや、なんか俺こそ...」


平和なのは良いことなんだけど、これは刀として...。

自分で聞いたくせにどう返そうか迷って、この気まずさに耐えきれなくなった俺は明るい話題に変えようかと、またネイル雑誌を開く。


『...』


でも、無銘刀の寂しそうな表情に、開いたネイル雑誌をやっぱり閉じた。今無銘刀に言葉をかけなかったら、また今度後悔する。そう思ったから。


「じゃあ、これからこの時代の事を知っていけばいいんじゃない」
『...え』
「今は主が居るから色んな所連れてってもらえるよ。それに戦うべき敵だって沢山居るしね。...なんかココ、無銘刀の時代とちがって破壊とかある怖い時代だし、よく分かんない時代だけどさあ。

__だからこそ、知っていこうよ。一緒に。」

『...!』


目を見開いてから軽く俯いた無銘刀。『あ、ありがと』って小さな声が震えてたのに気がつく。


え、何この子守りたい。
俺、もう、無銘刀の事結構好き。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -