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side審神者


「おはようございます、無銘刀さん。政府に務めております。名前は明かせませんので、気軽にご主人様と呼んでください」
『…あ………え…?』



無銘刀がうちの本丸に来てまだ2日目なのに何でこんな事になっているんだ。と目の前に座る政府の人間を睨みながら、溜息を吐いた。

俺の本丸の鍛刀妖精さんが超優秀で超レア短刀無銘刀を鍛刀したのまでは良かった。けど、思ったより無銘刀が鍛刀されたのは政府にとって重大な事のようで…。鍛刀したその日の夜に受け渡せという命令を俺にして、鍛刀した次の日の朝無銘刀を迎えに来るってどういう事なの!!??てか何こいつ!!!!!!!ご主人様って呼べってネタなの!?ネタだとしたってこんな緊迫した雰囲気の中ツッコミなんて出来ねえからな!!!!!!!あと戸惑う無銘刀可愛すぎな!!!!!!!



「無銘刀さん、単刀直入に言います。政府に来てください」
『…せ、政府?』


俺が心の中で荒ぶっている間に政府の人間は淡々と話を進めていく。


「あなたは今まで鍛刀された事例がありません…と言うことはぁ〜〜?」
『…えっ、え?…クイズ?…えっと…』
「何コイツ本当に政府の人間?」


ウザイテンションでクイズを出題した政府の人間は、自分で出題したくせにマトモな時間も与えず、「貴方が世界で1人の、平成の名刀の刀剣男士…無銘刀なのです」と答えを発表しやがった。政府の人間のクイズに正解しようと答えを考えていた無銘刀は、少し傷ついていた。…かわいいな、本当に…。


「しかし、各地に居る審神者様方にも平成の名刀、無銘刀の力が必要でしょう。ですから無銘刀さん、政府で貴方を研究させてください。どのようなレシピが出やすいのか…貴方を鍛刀するには何か条件が必要なのか…色々、知りたい事があります。」
「…は?…お前…!!!」


研究、という言葉に思わず激情する。無銘刀は、鍛刀されたばかりだ。色んな事を教えて、たくさん思い出をつくっていくんだ。そんな未来を、研究という名目で奪うっていうのか。と、怒鳴ってしまいそうな俺より先に口を開いたのは、付き合いが短い俺でも口下手だって分かっている無銘刀だった。


『ぉ…お、俺は、刀。…主を護り、敵を俺の手で切り伏せる為に鍛刀された、刀剣男士…だから、え、えぇと、ごめん、なさい…。』


…無銘刀が天使すぎて泣いた。



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