06


「では、パンツも受け取ったことですし、風呂にでも入りますか」
『…うっ…うん』


どうやら風呂が好きなようで、ニッコリと綺麗な笑みを浮かべながらそう発言した一兄。そんな一兄に対し、俺は顔を引きつらせながら辛うじて返事をした。正直、風呂は嫌いだ。お湯につかるのは気持ちいいし、風呂上りはさっぱりした気分になるのは最高だと思うけど、シャンプーやお湯が目に入るのが…こ、怖い。

でも、そんな事言ったって風呂を入らないのは不衛生だと言われるのがオチだろうし、何よりこんな子供っぽい事言いたくない。風呂を嫌がっていると一兄に悟られない様に、ハート柄のパンツと主から貰った紙袋に入っていた刀剣男士全員お揃いのパジャマ、自分用のタオルを持って一兄の後ろを歩く。

足取り重く歩く俺。でもどれだけ足取り重く歩いてもいつかは目的地につくのが当たり前で。


「無銘刀君、ここが風呂ですよ。刀剣男士全員で入っても狭くない大浴場になっています。」
『…そんなに広いんだ』
「賑やかで楽しい入浴時間になりますよ。静かな場所を好む人はいい印象を持たれないかもしれませんが」


風呂で騒ぐのか。全員結構いい歳いってるのに修学旅行中の学生みたいだ。そんな事を思いながら更衣室へと続く入口に入る。因みにこの本丸に女はいないので入口は一つだ。


『、ぁえ!?』
「…? あっ、一兄!」


更衣室に入ると真っ先に視界に飛び込んできたのは可愛い女の子の姿。驚きすぎて変な声を出した俺の方を一瞬不思議そうな顔でチラ見した女の子だったが、俺よりも俺の横にいた一兄に意識を逸らされた見たいだ。


「乱、今から風呂ですか」
「ううん、風呂上りだよ。」
「流石ですな乱。完璧に髪を乾かして」
「朝、髪が乱れちゃうのは嫌だからね!」


普通に会話をする一兄と乱ちゃんに驚く。
一兄って呼んでるって事は乱ちゃんも一兄の妹何だろうけど、妹だからこそここに居ることを許しちゃ駄目なんじゃ...。


『…こ、ここの本丸は混浴?』


我慢出来なくなって一兄と乱ちゃんに問いかけると、きょとんとした表情になり、二人で顔を見合わせて吹き出していた。


「ははは、無銘刀君、乱は男ですよ」
「あはは、久しぶりの新入りさんだから、反応が新鮮だね」


こんな可愛い子が男…?と、首をかしげる。

俺が信じていない事に気づいた乱ちゃんは、「信じてないでしょ」という言葉と共にパジャマのズボンをおろした。


『…、』


確かに男物のパンツだ。しかも柄が、中心に『漢』と書かれた渋い感じのものだった。本当に男だった事と主のパンツのチョイスに驚いた。



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