05

『割と、遠かったね…』
「ははは、この本丸は大きいですからな」


一兄が俺を見つけた場所から数分歩いた場所に、俺と一兄の部屋はあった。
部屋の目の前で一兄の腕から降ろしてもらうと、部屋の右横に掛けてある一期一振、無銘刀と彫られた木札が目に入る。一兄と同室。嬉しいけど、迷惑かけないように気をつけよう。

部屋に入りながら、そう心に誓う。


『わ、広いね…』
「二人用につくられた部屋ですからね。因みに右側が無銘刀君のスペースですよ」
『あ、うん』


その言葉に部屋の右側に移動する。試しに押し入れを開けるが、布団しか入っていなかった。あれ、着替えとかどうするんだろう。と疑問に思ったその時。

スパーーーーン、と襖を開ける音がした。


「あっごめん強く開けすぎたわ」


襖の方を見ると紙袋を持った主の姿。


『あ、主…』
「どうしたのです?」


一兄が主に問いかけると、主は紙袋から布を取り出して広げて見せた。そこにはハート柄の…。


「無銘刀のパンツ持ってきたんだ」
『えっ…』
「無銘刀君、この本丸では主が刀剣男士に似合うパンツを選ぶという決まりがあるのです」
『えっ…』


意味不明なカミングアウトにただただ驚愕した。
てか…俺、ハート柄…。


「因みに俺のパンツは水玉、一期一振のは苺柄だぜ」


主は先ほど広げたハート柄パンツを紙袋に入れ直して、興味ない情報を添えて俺に手渡す。呆然とする俺を放って、主は用は済んだと言うようにそそくさとこの部屋を後にした。


「ここでは、自分のパンツの柄が一種のステータスの様なものなんですよ」


ごめん、一兄。
そんな情報はいらない。



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