シングルトレインを勝ち抜けなくて悩んでいた私に、ノボリさんが気分転換にと誘ってくれた遊園地。

せっかくなので、私はとっておきの可愛いワンピースにお気に入りの帽子を被って待ち合わせ場所に向かった。


「ノボリさん!」

普段はギアステーションでしか会わないから、ノボリさんの私服姿はとても新鮮。

彼らしいシンプルな格好がとてもよく似合っていて…目が合っただけでドキドキする。

「名前様、おはようございます。本日はいつもと違った雰囲気で…このような格好もよくお似合いでございますね。
それでは、行きましょうか」

遊園地なんて久々で、ましてや憧れのノボリさんと一日中一緒にいられるなんて…夢でも見ているみたい。

「途中ではぐれてしまわないよう、お手を」

戸惑いながらも差し出された手を取ると、そのまま優しく握ってくれた。

手袋越しじゃない、ノボリさんの手。長くて綺麗な指。

それだけでドキドキがバクバクに変わってしまう。

頭一つ分違う身長、端正な横顔、いつも通り口角は下がっているけれど、バトルの時には見ることの出来ない柔らかな表情、優しく包んでくれる大きな手。

その一つひとつが、ノボリさんの全てが愛おしくて心臓が苦しい。


ノボリさん、貴方に今の私はどう見えますか?

精一杯お洒落した私を、今日だけでもいいから一人の女の子として見てくれますか?

…なんて、心の中で呟いてみた。



時というものは残酷で、楽しい時間ほど早く過ぎ去ってしまう。

気がついたら辺りの電飾は色とりどりに輝き、空には星が散らばっていた。

…そろそろ帰る時間が近付いている。

でも、今日一日ノボリさんと一緒にいられて、まるで恋人同士のような気分を味わえて、すごく嬉しかった。


「名前様…あの、宜しければ最後に観覧車に乗りませんか?」

街灯の下、そう言ってくれたノボリさんの顔は何故か少し赤く染まっているように見えた。

もしかして、私と同じ気持ちなの…?

「私も、ノボリさんと観覧車に乗りたいです」



ねぇ、もしも二人が…


(名前様、わたくしは貴女様をお慕いしています。)
(わ、私も…ノボリさんのこと…すごく、好き、です…)







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