そろそろ寝返りを打って転がるわよと言われネットを検索していたら気になる項目を見つけた。

『ハイハイ、ずりばい?』

なんじゃそりゃと思ったが、ハイハイならば知っている。

手と足(膝)を床につけて動きまわること。

ずり這いは腕の力だけ、足をあまり動かすことなく動き回ることらしい。


寝返りをうっていたのは見たことがある。

けれどミナト君がそんなふうに動いていたことはあっただろうか、あったような気もするし、なかったような気がしなくもない。

『ミナトくーん、こっちおいで』

寝転がっていたミナト君を抱き上げて、少し遠くの位置に置いてみる。
自分のもとにきちんと来るのか、ハイハイもどきのずり這いは彼に出来るかわからないけど試してみる価値はあるはずだ。

常に低い位置、床にいるミナト君のために買った柔らかなラグのマットの上で胸を弾ませて待ってみる。

あぶー、と言いながら懸命に転がって寝返りをうつミナト君をじっと見つめる。

『気合いだ気合い!抱っこしてあげるからおいでー』

馬鹿らしいと分かっているが、興奮したままわーいわーいと手を広げてミナト君の前で一人はしゃいだ。

ミナト君はあぶあぶと口を尖らせて此方を見てはいるが、手と足を動かすことがない。

段々と時が過ぎていく。

『あー、もうそろそら辞めるかな。ストレスかかったら嫌だし』

時計の針が進んでいくのを見て頭をかいた。

仕事に戻らなければいけない時間も迫ってきている。

よいしょと立ち上がってミナト君を迎えに手を伸ばす。

―ごんっ

『え』

差しのべた手を掴もうとした彼はバランスを崩したようでマットの上にうっと頭を打っていた。

『おわっ、ミナト君、大丈夫!?』

うつ伏せになったまま動かないミナト君を慌てて起こす。

『痛い音がしたんだけど大丈夫かー?痛いの痛いの飛んでけー、あー、腫れてはいないけど痛かったね』

きょとんと固まったままのミナト君は泣くでもなく、ただ何事かと現状が理解できないらしく微動だにしない。

『ミナト君、キミは強いね』

頭を何度も何度も撫でて名無しは抱き締めている腕に力を込めた。




ミナト:0歳





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