「あ、私を暗殺しようとしても、逆に殺しますからね?唯のシニョリーナだと思わないで頂きたい。」


そうすかさず言うが、どうやら彼等の耳には届いていないらしく、口をあんぐり開けたまま固まっている。
いや、リアルでザ・ワールドしなくても良いよ。彼らが固まって10秒以上を超え、沈黙に耐えられなくなり私から別れを切り出した。
「それじゃ、頑張ってくださいね!では!」
と言ったものの、生ハム兄貴が肩を離さない。てか、さっきより眉間の皺が酷くなっている!
まるで、グレイドフルデッドを発動をしてる時の様だ。生ハム兄貴は体を震わせながら、口を開く。
「ちゃちゃちゃちゃちゃ茶を、出してやるから。とととりあえず、部屋に戻れ。」
生ハム兄貴よ…酷く動揺しているぞ…後、肩が痛い。ついでに、ボスがギャンギャン五月蠅い。ちなみにボスの文句は割愛する。





「まさか、てめぇみたいな女が参謀だったとはな…。驚いたぜ。」

生ハム兄貴はそうぼやき、落ち着きを取り戻したのか、ソファーに蟹股座りをしながら、リゾットの淹れた紅茶を豪快にズズゥっと音を立て飲んでいる。
そんな生ハム兄貴の様子を複雑そうな表情でリゾットが見つめていた、他のメンバーはどうなのかと言うと、私たちの様子を慎重に観察していた。
「ハハハ…良く言われます。ぶっちゃけると、古株の幹部とか親衛隊、協定関係にあるマフィアのボスぐらいしか私の存在を知りませんよ。」
「だろうな…おめぇみたいな可愛い小娘が参謀だと知ったら、変な輩が出て来るだろ…。」
「そうですね…後、小娘って…言われる年齢じゃあないんですけどねぇー。ははは…。」
「…?どういう事だ?」
「言葉のマンマですよ。人を見た目で決めつけない方が良い。」
「…フン、確かにその通りだな。で、本題に入るんだが…。」
どうして、俺達にあんなチャンスを与えた。生ハム兄貴がそういった瞬間、視線が私に集中した。
「どうして、チャンスを与えたか…ですか。簡単ですよ。私は人材を無駄にしたくないんです。それに、貴方達のスタンドは、この組織にいるどのスタンド使いよりも強力な物が多い。それを蔑ろにするなんて馬鹿げてますからね。だから、ボスに嘆願して報酬等を上げさせたんです。」
「へぇ…そうなのかよ。けどよぉ…他のチームの奴らは俺らチームの事を人材の墓場なんて言ってたぜぇ…。」
私の言葉を聞いた生ハム兄貴が睨みつきながら低い声でが呟いた。
「フフ、他のチームの奴らの目が悪いんですよ。確かに此処のチームにいる皆さんは他の処で問題を起こし、厄介払いで此処に来た。しかし、その分、スタンドは強力。精神がイカれてる方がスタンドも強いんですよ。それに、この組織にとって重要な『暗殺』という汚れ仕事をやって貰っているんだ。それなりの敬意を払います。」
その言葉を聞いた生ハム兄貴を含め他のメンバー達は驚いた顔をしていた。そりゃそうだろな人殺し≠ナ金を稼いでいる人間が尊敬される筈がない。
といっても、此処に居る人間は全員犯罪者≠ナあり、越えられない線なんてとっくの昔に超えている。
私は正義やら悪とかそんなくだらない物を語るつもりは無いが、正義と悪は紙一重な存在だ。
善という言葉を抜けば、正義なんてただの暴力でしかない。それを理解せず振りかざす偽善者より、私は彼らの方が好きだ。
「…俺達に対して敬意を払う人間なんて初めて見たぜ。」
「フフ、そうなんですか。だって、誰もやりたがらない仕事を嫌々でもやる人って本当に凄いですよ。尊敬します。」
「……なんか変わってるな…お前。」
「…それ、よく言われるわ。」
ヤバイ。素が出てしまった。一生懸命、敬語で話していたのに…。
それを聞いた生ハム兄貴は鼻でフンッと笑い。
「あんたに一つ貸しが出来たな…これからも、ヨロシクな。参謀殿。」
「お、おう。」
そう言って握手したものの、アレ?こういうのって普通はリーダーが対応するもんじゃ無いの?リゾットってコミュ障じゃないよね?
まぁ、そんなことはともかく成し遂げたぜ。
やっと、SPWのようにクールに去れる。そして、レクイエムフラグからも少し遠ざかった。

けど、本当のハッピーエンドに向かうためには、まだまだ序の口だ。これ以上の問題がこの先、大きな壁となっているのを私は知っている。



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