何時の間にか私は成り代わっていた



前世?の記憶は勿論覚えている。
何処にでもいるような漫画やゲームをこよなく愛するオタクの女子高校生だった。
死んだ覚えもない。何が起こったかなんて、一切分からん。
カーズじゃなけど、私はそのことについて考えるのを止めた。
くよくよ悩んでても仕方ない…成り代わっちゃた訳だし…私は目の前の人生を生きる…。
フン、過去なんか気にしないわ。どっかの某漫画のキャラが言ってたもんね。
『過去なんて薄っぺらい本≠ナしか無い』ってね。
あ!でも、まだ完結してない漫画とかアニメの続きは滅茶苦茶気になるわー。
畜生〜其処まで生き残れるかなぁ〜…だって、私が成り代わったキャラクターは…



ジョジョの奇妙な冒険の第五部『黄金の風』のラスボスのもう一つの人格『ヴィネガー・ドッピオ』なんだよね。



トホホ…いきなりハード過ぎるわ…畜生め…。
だが、問題ない。私は常にゲームの難易度はハードだからな…慣れっこよ。
それに、逆に考えてみれば、死ぬべきキャラクターの運命を変えられるんだ。

絶対に変えてやるさ。運命を。




「良お〜〜〜〜〜しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし、たいしたヤツだ♪キングクリムゾンおまえは♪」


『ドッピオォォォ!!!私の可愛いドッピオよぉぉぉ!!!!お前にチョコラータの事を教えた覚えはないぞっ!!!!そんなゲスの真似をするなぁ〜〜〜』
「チョコラータ?チョコレートの間違いでは?甘そうな名前ですね〜?誰です?てか、自分に対して可愛いとかキモいわ〜マジ無いわ〜」
素っ頓狂な声で私は心の中でぼやくと、ディアボロは数秒黙り込むや否や、その後、獣の様に唸りながら吼えてきた。
そのまま黙っときゃ良いのに。
『っ…しらばくれるなぁ!!!何処で知った!!!答えろ!!!』
「本人から。」
『・・・・え、どどどどどういう事だ!一体、何時…』
酷く動揺してた声で奴は叫ぶと、そのまま口をつぐんだ。
こ…この野郎…ま、まさか!忘れたのか!?あの出来事を!!!自分の失態を!!!
別に終ったことだし、気にしてないんだけどさ…何か酷いわ。あの地獄の一ヶ月を忘れるなんて…
恐怖のマッドドクター&その患者と攻防したあの一ヶ月を…!
可愛いキンクリと親衛隊の皆が居なかったら、実験体にされて死んでたってのに…このヘタレ…。
腹立つから思い出させてやる。
「え…?忘れたんですか…数年前、ボスの所為で大怪我して入院した時の主治医が彼でしたよ?治療が怖くて退院するまで引きこもってましたもんねぇ〜。
そらぁ、知らねぇわなぁ?ヘタレボス!!!!」
『っ!ぐぬぬ…あ、あの時はすまなかった…本当に…、つい、調子に…』
さっきまで威勢の良かった声はドンドン小さくなり、最終的に途切れ途切れになって来た。
ざまぁみやがれ…ヘタレが……。
「黙れ!!!ヘタレボス!!!変なところで調子に乗りやがって!!!エピタフの意味が無いわ!!この自称帝王が!!!
こっちは死にかけるわ、入院中に実験体にされるわ、殺されかけるわ、散々だったんだぞ!!!ついてないで済まされるか!!!畜生が!!!
てか、あの出来事を忘れることができるボスの頭の中はお花畑ですね!!!」
『………お…落ち着くのだ…ド…ドッピオよ…ほ、本当に…すまなかった…。』
「フン!これ以上、言いませんけど変なところで、調子に乗ったり、意地張らないでくださいね。貴方に死なれたら、私も死ぬんですから…」
『……ドッピオ…お前って奴は―――…』
涙声で何か言いたそうだったけど、無視しよう。
「――――あぁ、ボス。話を変えますけど、今さっき始末した奴もそうですが、これから始末する奴って、暗殺チームに任せても良かったんじゃないんですか?」
そう尋ねると、さっきの涙声とは打って変わって奴は忌々しそうに呟いた。
『奴らは信用ならん…奴らは絶対に裏切るぞ……私の可愛いドッピオよ…。私にはお前しかいないのだ…後の任務も任せたぞ…。』
お前の待遇が悪いからだろってツッコミたいのを我慢して、私は適当に返事をすると、目の前にある死体を近くのドブに捨てた。
次の日、変死体としてニュースで騒がれるだろうなーと思いつつ、この先について考えた。
ボスはまだポルナレフに会っていない。
ぶっちゃっけ、組織もここ数年で勢力を拡大し、基盤が出来てきた所だ。おそらく、まだ時間はある。出会うのは今じゃない。
そう、私の直感が告げている。でも、ゆっくりしてられないな…。その前に、色々と根回ししなきゃー…
まず、どうにかして、ボスに暗殺チームを信頼させないと…てか、今の様子じゃあ…無理だな。
けど、死亡フラグ回避するためにも、彼等とは仲良くなりたい…無駄な敵も作りたく無い…。
自体、リゾットさんと戦うのは御免だ!!!剃刀なんか吐きたくねぇし、首から鋏を飛び出させたくないし、それに針が口からとか…絶対に嫌だ!!!
そもそもボスが彼等を信頼して、縄張り与えれば良いだろ。
てか、あの面子は其れ相応の金やら縄張りを与えれば組織を裏切るような事は絶対にしないと思うんだ…。
『周りから信頼され無くても、ボスからは信頼されてる』ってなれば、まだ救いがあると思うんですよ。今現在、その救いすら無いとか悲しいよねっ!
某マフィア漫画の暗殺チームでさえ、縄張りあるだろうし、優遇されてるよ!!!あ!でも、独立してるんだっけ…?
でも、こっちのチームより信頼されてるよなぁ…あさりファミリーのボスの方が優しいよ…。
そもそも、ボスから信頼されないって事は、組織からも信頼されてないって事だよ!?可哀想すぎるわ!!組織の代わりに汚い仕事してるのによぉ…。
確かに、暗殺業って汚いよ?でも、それが無かったら今のパッショーネは無いからね?
ボスってば、必要な時に散々利用するけど、報酬が普通のギャングより少ないとか無いわ。
裏切る前提で雇ってるよ…コレぇ…。
人を利用して使い捨てにするとか…俺の中じゃ考えられねェ…最低だ…流石、ゲス。
原作のドッピオなら何にも感じなかっただろうが、私は違うぞ。

と言う訳で、成り代わった私の第一目標は…



暗殺チームの待遇の改善?でOKだよな…うん…。


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